大沢専務が社長に昇格、「入社30周年迎える節目に大役を拝受」

オーエスジー株式会社

オーエスジー株式会社

大沢伸朗新社長

  •  2月20日付でオーエスジー第5代目の社長として、大沢伸朗(のぶあき)専務が昇格、就任した。「入社30周年の節目を画す大役」との自覚のもと、コロナ感染に配慮し、オンラインを活用したインタビューがセットされた。

 

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  •  晴れ舞台となった株主総会会場に、株主参加者は20人もいなかったと言う。
  •  「(自動車の)EV化の動きを含め、切削工具業界も不透明であり読み切れないが、100周年に向かって、今以上に輝いている会社でありたい。コロナによって、常識が常識でなくなるニューノーマルを意識し、これまでの成功体験が逆に『足かせになりかねない』ことも肝に銘じておきたいと思う」。
  •  80余年に及ぶオーエスジーの歴史で、チェレンジ精神が評価されるDNAが息づく。 「オーエスジーグループは、33か国90社に及ぶ。個々にスピーディーな経営を実践する、チャレンジ精神を持ち合わせているが、個別最適を選ぶ傾向は否定できない。オーエスジー全体のジャンプアップに繋がらないといけない訳で、個別最適と全体最適の間に違和感を持っていたいと思う」。
  •  オーエスジーの現状についてはどうか。
  •  「コロナ禍によって、業績は昨年の4月、5月が底。その後、回復基調をたどったが、一番、早かったのが中国、次いで欧州、北米と続き、昨秋から日本、アジアでも回復に向かった。前期は単月赤字も経験し、第4四半期に入って、ようやく反転した。2020年度を最終年度とする、売り上げ1500億円達成は、2019年の米中貿易摩擦、2020年のコロナによって、非現実的となり、現在、新しい中期経営計画を策定中。筋肉質な体制づくりを目指すことになる」。
  •  タップは世界で30%、日本国内では50%以上のシェアを占める。
  •  「ドイツのタップメーカー、バスを買収した。欧州の足場としての活用はもとより、どこまでシェアを伸ばせるか、拘っていきたいと思う。顧客もグローバルに展開しており、その活動の行方にも注目していきたい。また、ドリル、エンドミルについてもシェアアップは重要と捉えている」。
  •  コロナによって「営業のデジタル化」が加速した。
  •  「若手スタッフ中心に、DXの仕組みづくりに取り組んで、これまで得意としてきたリアルと、バーチャルの融合を促していきたい。そこが重要なポイントになる。特に移動距離の大きい欧米やインドといったエリアでのデジタル化促進は、顧客の効果的なフォローに結び付けられるだろう」。
  •  100年に一度の大変革と言われる、自動車のEV化をどのように捉えるか。
  •  「ステップを踏みつつ進んでいくと思われる。今は『初期』段階。すでに東欧など人件費の安いエリアに仕事が移管されるという変化も起きている。その際のサプライチェーンの『改革』にはグローバル性が問われ追い風になる。さらに、ユニット化、共通化が進んで失われていく部品もあるが、創出される部品を新しいチャンスと捉えたい」。
  •  ジョブコーティングの展開について。 「アメリカ、インド、ベトナム等でジョブコーティングを展開し、中長期的には、工具ばかりか、部品のコーティングへと領域を押し広げていきたい。ジョブコーティングを事業の柱として育てていきたいと考えている」。 これまで歩んできた30年の半分以上が欧州での活動となる。
  •  「70年代前半から代理店を通じて市場開拓が始まっていたが、90年代に入ると、オーエスジーの自社ネットワークの構築が進んた。新しいチャレンジとして東欧の開拓も課題となり、新興国で販路を拓く。実行力が問われたが、自由で楽しかった思い出がある。当社の子会社が増えていく時代でもあり、M&Aや新規立ち上げにも関わってきた」。
  •  今期は売り上げ1150億円を掲げてスタートした。
  •  「最低でもこの目標はクリアしたい。受注が急回復しており、各工場は需要に応じて生産体制を整え始めている。回復期にまごまごしていると、繁忙期に入ればニッチもサッチもいかなくなる」。
  •  最後になるが、座右の銘は「意志あるところに道はある」とのことだ。
  •  *大沢社長の略歴については69号8面参照