デジタル化推進の観点踏まえ、サンドビックコロマントオンライン総会

サンドビック株式会社

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サンドビックの山本プレジデント

 

  •  コロナ禍への対応ばかりか、今後のデジタル化推進の観点も踏まえ、サンドビックコロマント総会が初めてオンラインで開催された。メールで送られてきたリンクにアクセスして視聴する形式で、2月24日〜25日まで配信。各ブロックのコロマント会会長挨拶や山本コロマントカンパニープレジデントによる振り返りと今後の取り組み、新組織や営業戦略などのほか、デジタルツールサービスに関わるプレゼンといった盛りだくさんな内容となった。

 

 

  •  役員紹介に続いて、西日本、中日本、東日本それぞれのコロマント会会長から「金属加工の未来に貢献する工具販売に注力」「工具摩耗などが確認できるデジタルサービスへの期待」「ものづくりとDX(デジタルトランスフォーメーション)の架け橋に」-といった、サンドビックに対する決意や展望が寄せられた。
  •  なかでも、デジタルツールサービスという言葉が、期せずして3人の口を衝いて発せられたのは、場所こそ違えど、コロナ禍にあって、この取り組みが一様に核になったことを伺わせて実に興味深い。
  •  山本プレジデントからは「(コロマントを含むサンドビック全体の)社長となった昨年4月1日以降、リモートワークの推進、ソリューションウェビナーの立ち上げに着手した。ニューノーマル時代に、新たな価値を提供していきたい」との決意に続き、主要エリアの対前年第4半期受注実績比較で「メインの欧州市場はマイナス2%、北米は同23%、アジアは中国の回復でプラス4%」と報告。「欧州とアジアの一部で顧客の活動が活発化するなど、自動車産業の牽引による回復が目立つ」と言う。
  •  また、収益減少の中にあって「65億円に及ぶコスト削減」を達成したほか、米国を拠点とするソフト会社CGTechほか、1件の買収についても言及した。
  •  人事面では髙宮、武井両バイスプレジデントの執行役員就任(2021年1月1日付)のもと、新組織が編成された。今後の動きに注目したい。
  •  武井バイスプレジデントは、ニーズの変化やアプリケーションの多様化、コロナによる働き方の変化等を踏まえて、新しい役割と働き方について「営業をアカウントマネージャーとアプリケーションスペシャリストの2種類に分ける。前者はお客様との関係構築、新しいビジネスのチャンスを模索し、後者は徹底した技術提案を展開していく」と説明、提案した。たとえば、EV化による変化は、部品点数のみならず、アプリケーションにも大きな変化をもたらすだろうからだ。
  •  また、髙宮バイスプレジデントからは営業戦略について言及があった。
  •  「伸びる領域への集中化をはじめ、販売店とのパートナーシップ強化に向けたトレーニングやウィン-ウィンを追求するターゲットを明確化していく」一方、フォーカス製品の分野では「難削材向けのソリッド工具、自動車産業関連のM5シリーズ、機械搭載、新材種GC44シリーズ、さらに、CoroMillボディー」を提案した。
  •  オンラインの締めでは「デジタルセルフサービス」についてマーケティング部の水野氏が、以下の項目について解説した。①製品情報②CoroPluS®ツールガイド③テーラーメイドウエブ④適合チップチェック⑤Eラーニング⑥工具摩耗識別アプリ⑦Ifindアプリ-。
  •  ①1製品ごとに対応するウエブページでは、寸法などのパラメーターの確認や2D/3D図面のダウンロードが可能。
  •  ②加工に最適な工具を短時間で簡単に選定できるソフトウエア。加工の寸法や被削材情報、機械タイプを選択することで推奨工具型番、切削条件を得ることが可能。
  •  ③径や角度などオンライン上でパラメーターを設定することで工具のカスタマイズが可能。
  •  ④使用しているチップに適合する代替品をサンドビック製品から検索することが可能。
  •  ⑤日本語の音声ガイド、動画、イラストで加工技術をわかりやすく解説、理解を深めることが可能。
  •  ⑥スマートフォンにマイクロスコープを装着して工具摩耗を写真撮影して、画像データベースの摩耗タイプと比較することで、摩耗の種類を特定し、原因、対策を確認することが可能。
  •  ⑦製品情報はじめ、工具摩耗アプリ、適合チップチェックなど、コロマントのデジタル機能にクイックアクセスが可能。
  •  以上、総会内容をまとめてみた。オンライン故の詳細な把握も印象に残った。