PCD工具のブレーカ部で重要な、面粗度を確保したロロマティック製レーザスマート イシイコーポレーションが来年末からの大ロット受注に備え、ローダー付きが大活躍へ
田巻製造課長
- 大手自動車部品メーカーから、大量発注を含んだ年間計画を提示されたことが、ロロマティック製レーザ加工機「レーザスマート」を導入する直接のきっかけだったと言う。
- 田巻製造課長は「PCD工具の刃付けを担うことになる。顧客の計画のスタートは来年12月からだが、昨年5月に導入し、トライアルを経て7月から、ワイヤ放電からのリプレースを図りながら、生産をスタートさせている」と言う。
- イシイコーポレーションでは、PCD関連が60%、超硬・ハイス関連が40%を占めており、すべて特殊仕様。顧客のほとんどが自動車部品業界で占めている。
- 「NC化を推進するプロセスにおいて、これまで培ってきた汎用技能を工具製造に活かせるのが当社の強み。汎用技能のNC化における促進とも言い換えてもいいだろうか」。
- レーザスマート導入にあたって一番留意したのが、PCD工具によるアルミ加工切粉微細化ブレーカ付与時に問題になるブレーカ部への「溶着」。
- 「面粗度を、鏡面のように仕上げていくことによって溶着しづらくなるが、他社製との比較検証では、導入の決定打とも言える面粗度が2倍に改善されたばかりか、角のシャープエッジもきれいで、従来、プロファイルで手がけていた超硬刃の刃付けも高精度に、しかも速くできる」メリットが確認された。
- 「大ロット受注を想定して、ローダー付というのも大事な要素」と田巻課長は付け加える。
- レーザスマートは、昨年7月の稼働以来、月間最大で150時間稼働しており、開発品中心に超硬ダイヤモンドの刃付けで月産50本に対応している。
- 「PCD工具は通常、1ロット受注で2本から3本。総量的にはワイヤカットがメインを担っているが、床面積で半分という、省スペースも魅力かと思う」と語りつつ「当社に即した、ロロマティックへの要望になるが、径で150ミリ、規格外の長尺ものもあることから全長400ミリまで対応できる仕様があれば有難い」との要望も。
- 現場を案内してもらうと、レーザスマートは、21℃~22℃に設定された「恒温ブース」に設置されていた。
- オペレーターの内山さんは「超硬にダイヤモンドをロウ付けした工具の刃付けプロセスで、面粗度を含め高品位に安定させたい。そのための温度管理でもある」と語ってくれた。
- イシイコーポレーションに触れると、2019年が過去最高水準を記録したそうだが「2020年の秋から回復基調が定着し、コロナ禍前の水準に戻りつつある」とのことだ。
レーザスマートを操作する内山さん
来年末からの大ロット受注に備え、ローダー付きを選定した