難易度の高い鋳物加工で差別化する群馬・伊勢崎の須藤機械。30番の機でもユキワ製スーパーG1チャックでビビリ音解消、面素度アップ、刃持ちも良好に

株式会社須藤機械

株式会社須藤機械

スーパーG1チャックを手にする金子部長。30番の機械で活用し、ビビリ音がなくなり、刃持ちがアップし、面粗度も向上した

  •  商用車向けブレーキやステアリングなどの機能部品の切削加工をメインに手がける須藤機械を訪問した。
  •  須藤社長に自己紹介をお願いすると「オークマで2年間の『修行』を経て、2009年4月に24歳で入社し、28歳で社長交代して3代目として引き継ぎ、現在に至っている。入社当時はリーマンショックで主要顧客だったトラック業界は凍結状態。週休6日と言うありさまで、思いつく限りの改善活動に打ち込んだ」そうだ。
  •  時は流れ、須藤社長の入社から12年が経過した、前期2021年12月決算は、過去最高の売り上げを記録するまでに躍進し、今期はさらに更新する勢いにある。
  •  売り上げ別に顧客層を概観すると、トラック・バス関連が35%、乗用車10%、建機15%、残りは半導体関連を含む、その他で構成されるが「被削材で見れば鉄、アルミ、ステンレスの鋳物加工が多い。特に鋳鉄では粉塵などを嫌い、苦手とする企業が目立つなか、当社はそれを逆手に取って、特に難易度の高い加工に特化して受注している」と言う。
  •  加工上のポイントは、鋳物の内部応力により生じる変形(歪み)への対応だそうだ。
  •  「素材の特性を見極め、どのように掴むか。治具設計がカギを握る。クランプ方法や工程を間違えると歪みが生じ、製品が形にならない」。
  •  ユキワ精工と出会う「助走」とも言うべき取り組みとして、最近の5年間、須藤機械では、40番の機械で手がけていた仕事を30番で置き換えていくトライアルを展開してきた。
  •  須藤社長は「30番主軸の機械で置き換えられないかとの『宿題』を現場に投げかけた。コストパフォーマンスと設備占有面積を意識しつつ、古い40番主軸の機械のリプレースを図る目的で導入した30番主軸の機械が10台以上ある。わずか数年で1・8倍増という仕事量の急拡大への対応もさることながら、現場に設備・機器のより有効な活用を促す意味でも重要と判断した」と須藤社長は、その理由を語る。
  •  ユキワ精工との出会いは昨年の秋のことになる。
  •  現場責任者の金子製造部長は「2年先までの受注量となる、数千個単位で産業用ガス検知部品の仕事が舞い込んできた時期に重なり合う。地元の商社の方との同行PRで、スーパーG1チャックを勧められ、30番主軸の機械で発生していたビビリ音の解消をテーマに、N社製ツーリングとの比較検討を実施した」。
  •  結果は、N社ではビビリ音は小さくなったが、ユキワ精工のスーパーG1チャックではビビリ音そのものが消失したと言う。
  •  「面粗度も上がったほか、刃持ちが良くなった。部品点数で見れば、150個が限界だったのが250個まで加工が可能となった」そうだ。
  •  ほかにも「建機・バルブの油圧部品の溝加工でB社ではビビってしまったが、スーパーG1チャックは難なく加工ができた」。
  •  この半年間で、導入したスーパーG1チャックは、20本に及ぶ。
  •  金子部長から、グリーンG1チャックについても言及があり「荒加工で高い工具を使って加工していたが、安い工具に替えると、刃持ちが悪いうえ、精度も出ない。ツーリングをグリーンG1チャックで試してみると、安い工具でも精度が出るようになった」事例もある。
  •  ユキワ精工に望むことは?と水を向けると金子部長は「φ25ミリまでが限界だが、32ミリまで拡張してもらえるとありがたい」との答えが返ってきた。

 

昨秋からの半年間でスーパーG1チャック導入は20本に及ぶ

昨秋からの半年間でスーパーG1チャック導入は20本に及ぶ