ZOLLERとのコラボのもと、工具検査の自動化キーワードにツールプリセッターの新たなブーム期待する牧野フライス製作所

株式会社牧野フライス製作所

株式会社牧野フライス製作所

工具準備の自動化で商談を広げていきたいと語る原田さん

ツールプリセッタを活用した切削工具の自動計測を巡り、牧野フライス製作所とZOLLERとのコラボレーションが追求されている富士勝山事業所を訪問した。所管する加工技術本部の原田氏に面談し、顧客からの需要をはじめ、ZOLLERとの協業の経緯、提案・販売されているツールプリセッタの特徴等について詳細にヒアリングし、紙面化を図った。

 ZOLLERとの協力体制が図られるきっかけは何だったのか。
 「2018年に浜松のお客様から『工場新設にあたり、工場全体の工具管理を手がけていきたい』とのお話を頂き、結局、その話はいったん中断したものの、その後、同じような商談が複数、出てくるようになり、ZOLLERさんとの協力体制を築いていかなければ、お客様から十分な満足は得られないと判断した」。
 牧野フライス製作所で提案、販売されているツールプリセッタの正式名称は「venturion Makino edition」。
 活用を含め、特長をポイント的にまとめて頂くと、3点に集約されると言う。
 「ひとつ目は、自動測定機能の豊富さにある。お客様に紹介させて頂く中で『突出し量を確認』『工具の振れを確認』『ペンシルネックのテーパの変わるところまでの長さを確認』のように、工具を自動で検査したいとの要望が多く寄せられた。特に金型のお客様は、小径で突出し量も短いものが多く、自動測定ニーズが高い」。
 「ふたつ目は、牧野製機械設備との連携機能の豊富さにある。測定結果(工具長/径)は①LANでダイレクトに転送②工具IDチップ③NCプログラム(工具データ画面)④NCプログラム(ファナックの工具オフセット画面)⑤牧野製スケジュールソフトを介して‐と様々な方法で送ることが可能だ」。
 「みっつ目は、弊社のエンジニアリング能力。弊社の従業員のうち約1割に当たる150人が加工技術要員。職種も切削加工、放電加工、CAD/CAM、自動化システムなど多岐にわたる。venturion MAKINO editionは、工具を計測するだけのツールプリセッタではなく、お客様のお話をお聞きするなかで、弊社のエンジニアリング能力を活かし最適な工具管理を提案できること、そのものが最大の特長と思っている」。
 2020年10月から販売がスタートを切った。
 「高額商品故に飛ぶように売れる訳ではないが、部品・試作メーカ様だけでなく、金型メーカ様でもお使い頂いており、新たなお引き合いも頂いている。当事業所に足を運んで頂いたお客様には自動測定とLANによるデータ転送は必ず、見て頂く。そのうえで工具に関する困りごとを聞き出すことができれば、次に繋がっていくと思っている」。
 コロナ禍では、訪問や出張が難しくなり、ティームズの活用やウェブセミナー等のデジタルツールの活用に努め、この分野でもZOLLERとのシナジーを追求したそうだ。
 「1980年代後半に、ツールプリセッタを活用した工具の外段取りがブームだった時期があったが、その後、機上工具測定が主流となり、ツールプリセッタの話はほとんど聞かなくなった。だが、ここに来て、工具検査の自動化をキーワードに新たなブーム到来との認識を深めている。弊社としては、今後、焼き嵌め装置付きventurionなど、加工の前工程である工具準備の自動化で商談を広げていきたいと思っている」。