三井精機工業では「北米の航空機需要が回復基調」でオファー順調に

三井精機工業株式会社

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鈴木営業副本部長

工作機械業界の直近3月~5月の受注状況は、1500億円を突破するハイレベルを継続中。Withコロナも3年目に突入するなか、三井精機工業の業績にフォーカスすると、どのような変遷を辿ってきたと言えるのか。鈴木康太営業副本部長を訪問し、需要動向を探ってみた。

 「当社、精機事業の柱である航空機分野は北米のウェートが大きく、コロナ拡大による需要急冷が直撃。2020年の落ち込みは、従来の比ではなく、訪問すらも困難を極めた。明るい兆しが見え始めたのは、2021年に入ってからで、小型、中型機クラスの需要が少しずつだが、回復基調に転じ始めた」流れが次第に定着し「エンジン関連では、エンジンメーカーからの老朽化更新が加速し、本来のペースを取り戻し始めた。機種で見れば、Vertex55、75などのカスタマイズ機の受注が目立つ一方、機体や足回り関連では、人気機種であるHU100へのオファーが回復基調を辿ってきた」と語る。
 海外需要を牽引する北米の航空機分野は、全面回復へと向かっていると言えそうだ。
 では、国内の動きはどうだろうか。
 「モータコアやEV化に関わる金型部門で、事業再構築やものづくり補助金などの活用による手堅い受注が発生してきている。今後はさらに微細な部品加工分野の拡大が見込めるだろうと思う。PJ303Xをリリースし、2年がかりでマーケティング調査を展開してきたが、今後は着実な引き合いに繋がってくれれば」と微細加工市場の伸びに期待する。
 話は少し、脱線するが、カーボンニュートラルについて意見を聞く機会を得た。
 「一例を挙げると、タクトタイムの短縮や機械設備のスピードアップ、剛性アップの追求を通じて、使用電力量の削減を視野に入れていくことで『カーボンニュートラル』を身近に捉えている。顧客への提案では、当社のVertexを駆使することにより、ブリスクの加工工程で、手作業の工程を省くことが可能となった。エネルギー効率への貢献とも言えると思う」との具体例で説明してくれた。
 工作機械を製造する際のエネルギーの「指針づくり」も重要と説く。
 今年はJIMTOF開催が11月に予定されている。
 「航空機の機体加工で、評価の高いHU100など、既存機のブラッシュアップを進めていきたい。期待して頂ければ」と鈴木副本部長は結んだ。

 6月29日に開催された定時株主総会で改選された役員構成は以下の通り。
▼取締役会長 加藤伸仁(新任)▼代表取締役社長 川上博之(専務取締役)総括▼専務取締役 郷田昌生(新任)総括補佐▼常務取締役 那須要一郎(留任)管理本部長▼取締役 鈴木賢司(留任)精機生産本部長▼取締役 佐賀良宏治(留任)営業本部長▼社外取締役 平武司(留任)ジェイテクト領域長