DMG森精機の新製品「NTX500」を開発。小型複雑化するワークに対応する複合加工機
記者会見の様子
医療用機器、光学部品、ロボット部品など需要が増している小型複雑形状ワークに対応するため、DMG森精機はこのほど、複合加工機 「NTX500」を開発。6月27日には、同社・伊賀事業所において記者会見を行った。
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同機種は、全長250mmと世界最小クラスながらもクラス最速の30000min(高速仕様42000min)のターンミル主軸と、Y軸方向にも動く第2刃物台(クラス最速の最高回転速度12000minのミーリング主軸)を標準搭載し、上下同時加工を可能にしている。
機体はワークのダウンサイジングにあわせてコンパクト化(幅3480mm×奥行2060mm)を図り、また、ワークが小さくなるほど寸法や形状、表面粗度の点で高い精度が求められることから、熱変位を抑制するべく軸芯や機体の冷却循環を徹底。小型・複雑化するワークは加工時間も長く、機内走行式ロボットシステム「IMTR」を併用しての自動化を実現している。
従来、立型マシニングセンタやロータリーテーブルを駆使し、工程分割が必要な加工もあったが、同機の導入で1台に工程集約することができ、省スペース化、リードタイムの短縮とそれによって消費電力の削減を図ることができる。
これまで個別に投入してきたポストプロセッサ、切削加工シミュレーション、切削力最適化機能の3つの機能を統合した、ソフトウエア「CELOS DYNAMICpoSt」にも注目したい。CAMで作成したツールパスをポストプロセッサでNCプログラムに変換した後、切削加工シミュレーション機能によって加工形状を評価し、干渉チェック、加工時間の予測を行い、切削力最適化機能で切削負荷を評価、加工条件を最適化したNCプログラムを自動生成する。なお、同ソフトは試加工をデジタルで行っており、実機での試加工はせず、消費エネルギー削減につなげている。
機器の安定した連続稼働と工場環境の改善を妨げるのが「加工3悪」とされる切りくず、クーラント、ミスト。「ゼロスラッジクーラント」導入でクーラントタンク内のスラッジを回収し、繰り返してろ過を行うことでクーラントそのものの寿命を延ばし、タンク清掃の頻度を減らすことができる。人体および工場設備に影響を考えるミスト対策としては、ミストコレクタ「ZERO FOG」を開発。「加工3悪」をしっかり処理してトラブルを回避し、生産性を高めることで労働環境を改善する。省エネ機器として、CO2廃棄量削減につなげる。
記者発表のこの日はまた、急成長を続ける金属積層造形機市場に関連して、同事業所内で今年3月より本格稼働をはじめた「アディティブマニュファクチャリング」ラボの見学会も開かれた。
DED方式とSLM方式の2種類の金属積層造形機を導入して、顧客のワークを受託造形するほか、同社の技術を基にコンサルティングや設備導入の提案を行っており、設備導入前に金属積層造形技術を試してみたい人の参加を募っている。
ワークのサンプル例