ユキワ精工製スーパーG1チャック活用で工具寿命が大幅に伸長したルービィ工業。ベアリング製造で半世紀
取材協力いただいた守屋社長(右)と佐々木課長
ベアリング製造で2021年に創立50周年という節目を迎えたルービィ工業。神奈川県で産声を上げ、オイレス工業の外注部門として、早くから欠かせぬパートナーとなり、その後、工場の拡張、福島への移転・拡充等を経て2017年には完全子会社となった。
オイレス工業出身の守屋社長は「ベアリングの性能は、特殊銅合金に固体潤滑剤を分散焼結した素材と、その加工法に左右される。言わばここに各社のノウハウが詰まっている」との製造ポイントを語る。
仕事内容は、ほぼオイレス工業からの受注で占められ、ベアリング単体とユニット化された製品に大別されるが、取材対象となった製造2課は、スライドシフター、免制震、樹脂金型のスライドコアといったユニット製品の比重が高い。
「手がけるベアリングを大枠で捉えれば、標準品のほかに、特定ユーザー向けの定期品、図面付きの特注品に分類でき、売り上げで見た場合、それぞれの比率はおよそ30、35、35で、ほぼ一定している。数量ベースで中心を担うのが6割を超える定期品だ」。
受注ロットは、標準品で数個から数千個、定期品では数万個単位のロットもあり、特注品は1個から、と言う世界のようだ。
「大ロットが少なくなってくるなか、現場の考え方は、工程集約にシフトし、設備の活用も、インデックスを駆使した多面加工や5軸加工がメインとなってきた」。
現場ではヤマザキマザック、オークマ、OKK、ブラザー工業といった各社の機械がその役割を担う。
ユキワ精工のスーパ―G1チャック活用のきっかけとなったのは、売れ筋製品の標準品づくりに対応して、昨年9月に導入したブラザー工業製スピーディオ「F600X1」を活用する前のトライアル。
直接、現場を指揮する佐々木課長は「ツーリングの振れ精度が気になっていた。機械精度があっても、刃物の選定にブレがなくても、生産技術の上では、完結されない。社長の守屋がかつて生産技術を担当していた時に、ブラザー工業とユキワ精工の組み合わせで結果を出していたとの助言もあって、試作的にヤマザキマザックのVQC15/40(40番主軸)にスーパーG1チャックを装着してみた」。
実際に試してみて、他社製ツーリングとの比較で顕著だったのが工具寿命だった。
「粗挽き、仕上げの両面で比較検討したところ、エンドミル加工(仕上げ)で2倍、インサートチップ(粗挽き)で1・5倍、それぞれ工具寿命が伸びた。トライアルを終え、その後、本来、活用を考えていた30番主軸のブラザー工業製スピーディオ『F600X1』で実践しているが、(スーパーG1チャックのおかげで)40番主軸と比べて同水準の機械剛性を引き出してくれている」。
スーパーG1チャックは、今ではF600X1に14本、他工場のマシニングセンタに9本導入されている。
F600X1は、顧客のなかでも売れ筋製品を手がけているため、300種類と多く、まだまだ、立ち上げ中とのことだが「3月末までには完了したい」との目標が設定されている。
最後に佐々木課長からユキワ精工に対し「タップ加工で寿命が伸ばせるタイプがあれば有難い。また、長尺ホルダ、刃具によるビビリに対応したラインナップも希望している」との要望が上がった。
スーパーG1チャックの効用を確認したお二人のオペレーターに登場願った
工程集約が図られる現場で活躍するスーパーG1チャック