超硬エンドミル生産で大池工場の自動化工場への建て直しを計画。前期は過去最高の売り上げを記録。オーエスジー株主総会・懇談会
石川会長
オーエスジーの株主総会・懇談会が2月17日、豊橋市内のホテルで開催された。
冒頭のあいさつで石川会長は「1月末から2月にかけてタイ、マレーシア、ベトナムなど東南アジア方面を訪問した。街には若者が溢れており、肩と肩が触れ合うほど。凄まじい発展を実感した」との歴訪の感想を述べつつ「インドを含め、投資の拡大ほか、可能な選択肢を駆使して、各国の成長に追随していければ」とROAの改善も視野に入れ、事業拡大を展望した。
タップを柱にドリル、エンドミル、インデキサブルと、多様な工具種を世界30カ国以上の拠点を通じ、製造・販売する総合工具メーカーであり、前期は売り上げでは過去最高の1425億円(前期比13%増)を成し遂げ、営業利益は218億円(同36・0%増)、純利益では165億円(同50・5%増)を叩き出した。総資産2288億円、自己資本比率は72%に及んでいる。
「インフレの進行、金融の引き締め、急激な円安進行等に見舞われたが、国内は増収増益を確保する一方、欧米は顕著な回復、アジアでは底堅さが寄与して、それぞれ過去最高を更新した。今期は、微細精密分野でのシェアアップ、Aブランド製品の拡充、大池工場では新たにエンドミルの自動化工場としての建て直し・・・を通じて、売り上げ1450億円、営業利益240億円、純利益で300億円を目指していく」考えを披露した。
一方、大沢社長は、株主懇談会の場で中期経営計画に即して概説。 2024年11月期時点の中期経営目標ではROA(営業利益ベース)15%、営業利益では300億円が盛り込まれた。
「企業体質強化を優先しつつ、2027年までに、タップの世界シェア40%、Aブランドは海外伸長を見据えて、標準品比率40%の達成を計画しており、さらに2030年までには、新規顧客を取り込みつつ、微細精密分野の顧客別ポートフォリオ構成30%以上」との絵を描いている。
超硬エンドミルの生産能力の最大化に向けた動きでは、前述の大池工場の自動化工場への建て直しばかりか、グループのエスデイ製作所が建設する新工場(2023年着工)を小ロット対応工場とすることでグループ生産分業を実現、超硬エンドミルの新たな供給体制強化に向けた動きも見逃せない。
続いて中国、北米についての報告が、増岡執行役員、ジェフ執行役員からそれぞれ行われた。
増岡執行役員は「上海で突然のロックダウンに見舞われ、食事や飲み水に困ったのは初めて」と、中国でのゼロコロナ政策でのリアルな経験に触れた後「(弊社は)海外の半分以上の利益を中華圏で稼いでいる。3月以降、成長への期待が高まっており、たとえばEV車が700万台から900万台、ハイブリッドも伸長しており、新たな(切削)加工部位が拡大。航空機分野でも、C919の1035台受注といった需要も無視できない」と新たな需要を捉える。
またジェフ執行役員は「米国の失業率が3・4%と50年来の低水準にとどまっており、雇用市場は高水準をキープ。この中で工具需要は4・8%増と予測されており、伸長分野として、モーター車と関連部品、航空宇宙産業製品・部品エネルギー産業等が挙げられる。また、6月くらいには半導体不足が解消し、軽車両の増産が見込まれる」と北米市場の動向を描いた。
工具種によるマーケットシェアを説明する大沢社長