田野井製作所が創業100周年記念祝賀会開催。藤井白岡市長はじめ、代理店代表など、多数の関係者がお祝いに
150年、200年と継続できるよう、精進していきたいと挨拶する田野井社長
田野井製作所が創業100周年を迎え、5月12日には東京會舘で記念祝賀会を開催。藤井白岡市長をはじめ、金融機関、代理店各社の代表ほか、多数の関係者がお祝いに駆け付けた。
1923年11月3日の創業となるが、その2か月前の9月1日には関東大震災に見舞われている。祝賀会開催前のスライド上映で、倒壊、炎上した家屋が映し出されたが、10万人を超える死者、行方不明者を出す大惨事であり、当時の国家予算14億円に対し、被害総額は55億円と言う計り知れない、甚大な被害をもたらした。
このような状況下にありながらも、創業者田野井丈之助氏にはタップ、ダイスの国内製造を通じて再興していこうとする、熱い起業家精神が宿っていたことに驚くほかないだろう。
5代目となる田野井優美社長は「5月8日からコロナが5類へと移行し、祝賀会開催へと漕ぎつけられたのも創業者が導いてくれたものと思うばかり。また、会場にさせて頂いた、この東京會舘は、昨年、創業100周年を迎えられ、思いを共有させて頂くことにした」との挨拶に続き「色んな方々のお力添えを賜り、これまで歩んできたが、この先、150年、200年と継続できるよう、精進していく所存ですので、引き続き、ご支援のほどお願い申し上げます」とポスト100周年を見据え、協力を訴えた。
来賓あいさつで、藤井白岡市長は「製造品目のタップ、ダイスでオンリーワン商品を追求され、100年に及ぶ事業を継続されている。数%の企業にしか成し得ていない、まさに偉業」と称え、乾杯の発声に立った代理店会会長のヤマモリ馬場社長は「ネジ加工分野一筋に、時代のニーズに沿った製品を出し続け、100年を歩んで来られた。今後も、価値あるオンリーワン商品の提供を!」との挨拶を行った。
連綿と続いているオンリーワン商品だが、最新の3商品に即せば、めねじ締め付け不良をゼロにする「シームレスタップ」、加工後の切りくず残りゼロを実現する「ゼロチップタップ」、そして加工の高速化と工具の耐久性を両立させた「ダブルタフレット」が看板商品として成長。コロナ禍による自動車の不安定な生産状況に直面しながらも、一貫して、伸長しているようだ。
また、営業と言う面から見れば、ドクターセールスという顧客への提案も、田野井製作所を特徴づける。現場で解決できない、ねじのトラブル原因(患部)を診断し、改善(治療)を促していく、営業マンの「医者化」の実践であり、もの売りではなく、こと売りに通じる。
タップ、ダイスの製造販売は、時代の要請によって変容を遂げていくだろうが「ネジ加工」という加工法に大きな変化は考えにくい。祝賀会を機に、今後の変化と進化を改めて期待したい。
祝福を受ける田野井優美社長と田野井義政会長(左から2番目、3番目)
田野井会会長のヤマモリ馬場社長による発声で乾杯