航空機産業向けに新たにリリースされた新製品、VT7-1600i。しかしながら、導入ユーザーは広い層が想定できる。
中村部長
立旋盤専業メーカーのオーエム製作所が「佐脇新社長体制」発足初のJIMTOFを迎える。2016年度全体の見通しは「厳しい」と見ているものの、9月の米・IMTSに引き続き航空機分野を深耕する狙いがあり、その「切り札」として登場するのが注目新製品「VT7‐1600i」。その披露は、必見に値するだろう。
開発を主導した中村多喜夫開発部長は「VTLexの上位機種に位置付けられ、当社のフラッグシップマシンとなる。テーブル径1・6mで、最大切削能力は4万N。7MPa以上の超高圧クーラント対応。航空機エンジン部品をターゲットとし、生産性アップに寄与していければ」との抱負を語る。
技術面での着目点については、37kW、26kWと、それぞれ出力の違うモータ2基でのタンデム駆動は初。コストパフォーマンスを最大限に引き出せるアイディアの具体化に乞うご期待と言ったところだ。
ダイワボウグループ力を活用して、新たなタッチ式操作盤をオリジナル開発した点も見逃せないだろう。
スマートフォン、ウィインドウズライクな操作で、客先の好みに合わせた壁紙、画面の色調、各種メータ形状の変更が可能だ。
サーボの負荷が時系列で見ることができるのも特徴で、数字だけではない、目で見て確認できる点は「痒い所に手が届く」配慮の表れだろう。
「X軸を静圧にして、位置決め精度が従来比半分にまで収まる点も強調したい」と中村部長は付け加える。
業界で定着しつつある「切粉検知システム」を熟知していないユーザーへのアピールになるが、監視しつつ「無人化」が追求できるメリットは大きく、現場での仕事の振り分けで、効率のいい作業に貢献する。
さらに「チップのノーズR判別装置は刃先のRを判別。画像処理で、工具のセッティング間違いを事前に知らせてくれる。付け間違いがなくなれば、高価な航空機用部材をオシャカにすることから解放されるばかりか、不良低減にも繋がる。地味ながらも、重宝できる機能だと考える」。
作業性、作業効率ばかりか、全閉カバーでデザイン性についても考慮されている。
「テーブル径1・6mの汎用ゾーン向けであり、特にこの分野からは、時短要求が半端ではない。開発から具体化までおよそ2年を要したが、剛性面や価格面、市場とのマッチング性など、様々な角度からその作り込みに腐心したつもりだ」。 航空機業界からの需要は高い、と言われる。だが、チャンスをチャンスとして活かし得るかどうかは、偏にニーズをどれだけ先取りしているか、にかかってくるだろう。
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(オーエム製作所 レビュー)
今回のオリジナル操作盤に見られるようにダイワボウグループの協業は、今後、ソフト開発をはじめ、いろんな面でオーエム製作所の立旋盤の魅力を付加してくれるに違いない。
中村部長のインタビューの最後で「日本人は常に工夫を試みる、ものづくりを手がける。昨日よりも今日、今日よりも明日の方がよりいいものが出来上がってくる。これが日本のものづくりの底力に通じくるのだと思う」と語ってくれた。
オーエム製作所の機械づくりを実感した次第だ。
昨年名古屋で開催されたメカトロテックに出展されたNeo‐10EXⅡ