2022年度は部品の手当てに労を取りながらも、過去最高水準の業績をキープした牧野フライス精機。自動化促進図り、人手不足への貢献さらに
清水社長とともに喜びをかみしめる中里設計課マネージャ(右)(日刊工業新聞社提供)
部品の手当てに苦戦を強いられながらも、そのダメージを最小限に食い止め、2022年度の牧野フライス精機の業績は過去最高水準をキープした。
清水社長は「部品不足への対応は、当初からの課題で、何とかやり繰りしたと言うのが本音だ。顧客にご迷惑はかけられないとの思いから、前期は、受注を抑えながら絞った生産計画を立てた期初の段階から、部品の手当てに目鼻を付けられるようになった事態を迎え、強気の生産計画に組み直した経緯がある」と説明する。
機種別の受注では、AGE30FXがSG10を頭一つ抑えてツートップから単独首位の地位に浮上。3番手以降にはMG30、SS7と続いている。
「弊社の主要顧客である工具メーカーは、設備投資のタイミングを伺っているようで、その意味では、需要に落ち着きがあり、今しばらく、模様眺めが続くように思う」。
今期に入り、生産財設備関連の国内需要は、一服感が見られるようになってきているが、何も工具研削盤に限ったことではない。
「景気に山谷があるのが当然だが、長期の視点に立てば、少子高齢化等による自動化需要は、常に発生してくる。弊社でも、AGE30FX、SG10の自動化オプションの選択率が年々高まってきており、今後も、多様な自動化ニーズに対応できるよう準備していきたいと思う」。
自動ワーク交換時間や砥石交換時間、それぞれの短縮をはじめ、自動ティーチング機能に対応したパレットの採用、さらに機内でチャッキングしたまま、自動測定を可能とし、そのデータをもとに次のワークに対し自動補正し高精度連続加工を可能とするmonocam2など、オプションを含む自動化対応に奥行きと幅が出てきている。
話題性と言う点では、4月にAGE30FXが、公益財団法人りそな中小企業振興財団と日刊工業新聞社共催の「中小企業優秀新技術・新製品賞『優良賞』」を受賞した。
「受賞各社のうち、生産財のメーカーは弊社1社で、自動化技術への評価も盛り込まれ、全社員とともに喜びを噛み締めた。因みにmonocam2の搭載可能なAGE30FX、SG10への搭載率は3割にまで達している」そうだ。
昨年末にリリースされた長さの異なる異種工具の連続加工を促すソフトウエア、スケジュールマネージャ「スペックT」も現場の自動化を促進する、清水社長お勧めアイテムだ。
「シャンク径が同じなら、異種工具の連続加工を可能とするソフトウエア、スケールマネージャに、長さの異なるワークの、突き出し量自動調整機能が新たに追加されたもの。再研磨メーカーへの差別化提案としても有効と考えている」。
自動化技術の進展に今後も注視したい。
中小企業優秀技術・新製品賞「優秀賞」を受賞する清水社長(日刊工業新聞社提供)