フォルマージャパンのテスト加工で活躍する米国製トランザーフィルター。「研削液のクリーンさが次なる商談に」

フォルマー・ジャパン株式会社

フォルマー・ジャパン株式会社

VGrindのアプリケーションを担当する大久保スタッフ

テスト加工機を配置したショルームールを併設するフォルマージャパンの新社屋では、移転した2021年9月以降、トライアルの迅速な対応が可能となったことから、顧客からのテスト加工依頼頻度が急上昇。このプロセスで、にわかに「名脇役」として注目され始めているのが米国製トランザーフィルター「V1」だと言う。テスト加工でろ過機の果たす役割とは何なのか。Vgrind360Sのアプリケーションを担当する大久保さんを訪問し、ヒアリングを試みた。


 フォルマージャパンのショールームには、超硬工具製作用の「VGrind360S」「VGrind340S」、超硬工具とPCD工具双方に対応する研削と放電機能を併せ持つ「VHybrid260」、メタルソーの研磨機、鋸のチップソー加工機と、計5台が設備されている。
 「私は超硬工具製作に関わるVGrindシリーズのアプリケーション担当で、フォルマーでの社歴は3年強。テストピースを携えて頂く場合も含めて、今年に入ってからでも8回はテスト加工に対応している」そうだ。
 安定した高品質量産加工は可能か、形状の作り込みはどうなのか、小径対応は、どのレベルまでなのか・・・各社が携える「宿題」は、実に様々だ。
 「とは言え、テスト結果がすぐにわかるので、VGrindの効用も、その場で実感いただくことができ、狙い通りにいけば受注に結び付いてきた」。
 米国製トランザーフィルター「V1」が導入されたのは昨年7月。VGrind360Sのテスト加工で、常に動員されてきた。
 メンテナンス性の優れた高性能ろ過機は、高精度、高品位加工と機械状態を最良に保つ上で重要な点であり、トランザー導入により絶大な効果をもたらしているそうだ。
 「超硬のスラッジを1ミクロンレベルで取り除く能力はすごいと思う。研削液を見れば、ろ過できているかどうかが依頼者サイドでもわかる訳で、ここで心証を悪くすれば、次の商談に進むことができない」。
 スラッジが除去できなければ、砥石と工具の間にスラッジが混入し、外観不良やチッピングが発生するばかりか「工具研削盤の寿命にも影響を与える」。
 研削液がクリーンな状態をキープできれば、当然、長持ちして、研削液の節約にも繋がっていく。
 「VGrind360Sは、太径工具の加工が効率良くできる点で他社と差別化でき、実績的にはシャンク径32ミリまで可能だ。単にできると言うのではなく、効率良くできると言うのがポイント」とも大久保さんは付け加えた。
 テスト加工の結果、VGrindを2台同時受注したケースもあると言う。
放電と研削機能を併せ持つ「VHybrid」には、汚れた研削液層に付けられるスラッジのハンドリング装置(ドラッグアウト)が標準で装備されている「新V1」が取り付けられている。
 「フォルマーのアプリケーションは専門分化していて、ジャパンでは、今後、VHybridのアプリケーションエンジニアを育てていく計画。近い将来、人材が育ち、対応できるようになれば、新V1の評価もできるようになるだろう」と大久保さんは結んだ。

VGrindに設置された米国製トランザーフィルター「V1」
VGrindに設置された米国製トランザーフィルター「V1」