高濃度材の深穴加工用に、トグロンハードロングドリルを前面に据えた。ロボットとの実演で小径ドリル用ユニットも注目。
新製品「トグロン マルチ チャンファ—」を手に取る岩田昌尚社長
イワタツールは高硬度材深穴加工用「トグロンハードロングドリル」を前面に据えてJIMTOFに臨む。
岩田昌尚社長は「金型領域への加工工程に革新をもたらす工具として、拡販の重点アイテムに設定している。50Dまでの規格品に加え、それ以上の深穴用ドリルの製作も可能だ」そうだ。
焼き入れ鋼に穴を明けるという世界は、今では大手工具メーカーも相次いで「参入」してきているが、そもそもパイオニア的存在として、いち早く着手したのがイワタツールであり、なかでもトグロンハードロングドリルは、焼き入れ鋼に20D以上の貫通穴加工を実現させた世界初のドリルとして、注目度は高い。
また、高速面取りを実現する「トグロンマルチチャンファー」、バリのない面取り加工を目指す「トグロンシャープチャンファー」も新たにラインナップし、会場で披露する。 「この2アイテムは、今年の5月に完成・稼働をみた新工場で製作したもので、面取り加工で従来、ご満足いただいていない層に向けて、是非とも提案していきたい」。
さらに会場での話題性として、付け加えておきたいのが、小径工具の能力を引き出す提案として、昨年の機械要素技術展やメカトロテックでも紹介されたユニット「MDS」(マイクロ・ドリル・システム)と、今回は安川のロボットと組み合わせて実演されることだろうか。小径に特化する一面が伺えるというものだ。
工具業界全体は、今年の急速な円高などを背景に、5月以降、「踊り場」を迎えているものの、イワタツールに即せば受注は、過去最高水準をキープしているのが現状だ。
少し、話は脱線するが、イワタツールは、熱処理の受託も行っている。新工場稼働とともに、新たに熱処理炉が導入され、自社製造の量的拡大への対応ばかりか、これまで培ってきたノウハウとも相まって、顧客への満足度も高めてきていることにも留意したい。
また、新工場活用という点で、その一画を学生や企業の研究スペースとして開放する「OPEN Garage」の計画があり、このほど、改装を実施した。
愛知県が、愛知のものづくりを世界的ブランドへと展開するため、県内の優れたものづくり企業を「愛知ブランド企業」として認定する制度を設けている。イワタツールが選ばれているのは、半ば、当然かもしれない。
昨年の機械要素技術展で披露されたMDSのプロトタイプ1
新工場に新設された真空炉
生産性向上の成果はすでに見え始めた