前期は受注で明暗分け「前期前半は絶好調、後半は失速」。メカトロテックでは統合生産システム「AIMS」を日本初出展
板倉社長は「小径工具から再研削まで幅広く対応するFX5リニアの日本市場浸透を図っていきたい」との抱負を語る
6月決算を迎えるタイミングでANCAジャパンを訪問し、板倉社長に前期の業績の推移と特徴をヒアリングしながら、2023年度を展望してもらった。
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直需体制に移行し、ANCAジャパンは3期目に突入した。
板倉社長は「日系企業が進出している中国や東南アジアと言った地域への納入も目立つなか、昨年の7月~12月の上半期は、まさに受注は絶好調。日本販売スタート以来、半期過去最高受注台数を記録するも、下半期に入ると、大幅に失速し、この6月にも、2桁に迫る受注を見込んでいたが、模様眺めとの判断のもと、延期を余儀なくされた」と言う。
受注ベースでは、前半、後半の明暗が分かれたとも言えようが「スカイビングカッター向けのGCXリニアという、同業他社にはない機種の受注機会も大切にしていきたい」と語りつつ「前期は、大手自動車部品メーカーの再研磨用として初めてMX導入が決まった。小さな一歩ではあるが、将来的な飛躍が期待できる小さな一歩」にも気を配る。
従来、日本市場ではTX、MXの両機種の浸透が目立っていたが、FXシリーズの受注が上積みされた点も前期の特徴に挙げられた。
この2年間「サポート イン ジャパン」を運営の基本方針に据えているためか、日本の顧客からは、ANCA製工具研削盤の品質に関わる期待の高まりを肌で感じると言う。
「ソフトウエアでの優位性は当然としても、壊れにくい機械づくりを基本に据えていることと無関係ではないと思う。日本での販売がスタートした1996年以降、日本(日系含む)での納入台数が400台に迫りつつあり『壊れにくさ』を体感されるユーザーが増えてきた。と、同時に、世界に比べて、類を見ない、品質に対する日本基準の厳しさは、オーストラリア本社でも、痛感しており、そのおかげで弊社が鍛えられてきた側面も大きい」。
トピックスとなるが、昨年末に本社のCEOが外部から招かれ、交代したそうだが「マーチンと言う、新たな責任者は着任後、すぐに来日、主要顧客を訪問した」。
世界市場で見た場合、日本での受注台数では5%~7%程度のシェアだが・・・。
ジャパンでは、体制強化のため、営業、アプリケーション、サービスの各部門で人材を募集し、今期中に「20人体制」を目指す計画。
「累計販売台数400台まで、もう少し。突破を今期の目標に掲げているが、この点でも体制強化は避けられない」。
10月開催のメカトロテックでは、統合生産システムAIMSの日本初出展を予定しており「工具業界が生産性を向上する為に何が必要か?を提案していきたい」と板倉社長は訴えた。
次世代製造マシンとしての呼び声の高いMX7リニアもショールームに配置されている