イワタツール、トライエンジニアリング、田野井製作所3社共同記者発表
共同記者発表で説明に当たった、左から岡トライエンジニアリング専務、岩田イワタツール社長、田野井製作所の田野井道人営業次長
イワタツール、トライエンジニアリング、田野井製作所の3社が、11月21日、名古屋市守山区のトライエンジニアリング本社で共同記者会見を開催。イワタツールの国内を含むワールドワイドの状況はじめ、ロボットSierとして加工分野に取り組み始めたトライエンジニアリングの動向、今年で創業100周年を迎えたタップ専業の田野井製作所の立ち位置等について、それぞれの立場から最新の話題が提供された。
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イワタツールの岩田社長は「国内は、受注を数多く頂きながらも、生産が思うように進まず、不良率も高かった状況の打破に向けて全力を投入。試行錯誤しつつも、今春から改善をみるようになっていった」との生産体制の再構築に言及しながら「ヘリカル穴加工用のエンドミル『ドリミル』がようやく新製品として結実。年内出荷を予定している」と待望の新製品リリースに触れた。
ドリミルは、低切削抵抗で、スラストはほぼゼロ、ランピング角は最大で15度、溶着防止として、センターオイルホール付きといった特長を備える。
ワールドワイドの動向を見てみよう。
中国・大連に拠点を置くイワタ精工では6割がエンジン自動車向け、4割が電気自動車向けの工具を生産。「今後は医療関連分野にも照準を合わせ、小径工具の開発に努めていく」考えだ。
タイ工場は、80%が日本向けに輸出、残り20%がタイ国内での販売。「今後はタイでの地産地消分を増やしていく」計画に加え「イワタツールベトナムでの販売も追求したい」という意向も。ベトナムでは現在、代理店の発掘中だ。
イワタツールヨーロッパでは、8割が金型関連の顧客だそうで「GPドリル、トグロンハードドリルの販売が好調。現地代理店のメンバーが、顧客の現場に出向き、直接、機械に取り付け、成果を出している」。
トライエンジニアリングは、ロボットSierとして、主に自動車の生産ラインをサポート。ただ、近年では生産技術の高度化に伴い、新たな生産工法ロボット技術の共同研究も展開している。
岡専務は「加工用途でのロボット適用をコア技術として提案。ロボットマシニングシステムとして、イワタツールのドリミルとタイアップして薄板板金加工や樹脂部品加工での多彩な穴加工で実績を積み上げてきている」。
ロボット専用主軸モータとダイレクト制御によるロボットマシニングシステムは、多関節ロボットアームにより、5軸加工機に相当する加工自由度を実現。ロボット1台に対し、複数の加工テーブルの設置や走行軸と組み合わせた長尺物加工をも視野に入れる。
先日開催された国際ロボット展にも出展、バッテリーケースやギガキャストにフォーカスした展示内容に関心が注がれた。
11月3日に創業100周年を迎えた田野井製作所からは田野井営業次長が出席。
鋳物加工に画期的な成果をもたらした「ゼロチップタップ」。今や同社の看板製品へと成長を遂げているが、ニーズを辿れば、長寿命化や加工速度アップにまとめられる。カケや摩耗の回避、刃形状の見直しなどを図ることで実現。カムシャフトやクランクケース、シリンダーヘッドといった自動車部品をはじめ、建機や農機、ロボット、工作機械などがターゲットとなる。
「このほか、コンタミを大幅に軽減するシームレスタップ、高速加工と長寿命を両立させたダブルタフレットも弊社の人気製品。新規ラインナップでは、鋳鉄用の超硬ゼロチップタップ、スパッタや塗料が入り込んだのをさらう、サライ用の転造タップもこのほどリリースした」。
田野井製作所の営業スタイルは、困りごとをヒアリングしながら、解決していく『ドクターセールス』。ユーザーなら活用しない手はないだろう。