信号送信による径調整セットするコロプラスは必見。
ボーリング工具の実演の見どころを語る
サンドビック・コロマントカンパニー(高屋政一カンパニープレジデント)は10月11日、名古屋市名東区の同社本部でツーリングパートナーを対象に第5回技術セミナーを開催。加工技術のデモンストレーションも行われ、販売会社代表ら60人が出席して同社製品の最新動向を探った。
セミナーでは、米国シカゴで開催されたIMTSの模様をレポートした後、JIMTOFでのブース形成について、ボーリング工具とスマートフォン用新アプリ「Ifind app.」、「コロプラス」(Industry 4・0に対応するプラットホーム)で構成する方針を発表した。「コロプラス」はスマホ(=無線)で信号を送りながら径調整を行うもので、このシステムをボーリング工具に組み込んだ「コロボアプラス」が紹介された。また、光で工具の状態や加工中の様子をモニタリングできる「サイレントツールプラス」の説明もあった。
JIMTOFの見どころに続いて、「コロマントキャプト・クランピングユニットのビジネスチャンス」について発表があった。「ビジネスチャンスを掴むポイントは、導入段階で失敗し、悪いイメージを持たれないよう完璧な事前打ち合わせを行うこと」と切り出した同社機械搭載推進部の中谷氏。一般にクレームは、製品の説明が行き届いていないことに起因するものが多く、同社ではこれを回避すべく、ビジネスにおける行動規範を議事録に置いているという。この後、中谷氏は「これまでにどんな失敗をしてきたか」について、①切り屑が混入してクーラントがストップし内部シーリングを損傷させた事例、 ②機械側の最高回転数の確認不足でベアリングを傷めてしまったケース、③標準一体型ホルダでは共グリ加工以上の精度がだせなかった実例、④一体型ホルダを選択し加工するとビビリが発生しやすくなるケースがあるなど多くの事例を挙げて説明し、参加者もまたそれぞれに〝自戒すべき〟事柄として胸に刻んだ。
そして、「導入時にあたり一番チェックしてほしいこと」と強調したのが、ホルダが刃物台の最大旋回径をはみ出す問題、すなわち干渉(=接触)である。
クイックチェンジの欠点でもあるこの問題について中谷氏は、「刃物台の最大旋回径をチェックすることをお忘れなく」と注意を促し、旋削用ホルダであればオフセット型ホルダを選択したり、特殊カッティングヘッドの製作、キャプトサイズの変更を、また、回転工具ホルダであればショートアダプタを選択したり、ヘッド交換式工具の選択、キャプトサイズの変更を提案して問題抑止策とした。各自が反省事項としてこれを持ち帰り、大切なクライアントからクレームを招かぬよう、後日の営業活動でしっかり事前説明することが期待されている。
会場をアプリケーションセンターに移して、ボーリング工具の実演加工(①2枚刃防振ボーリング工具による安定加工、②3枚刃での高生産性加工、③クーラントノズル付の1枚刃による仕上げ加工)が行われた。
同社機械搭載推進部の佐々木氏は各加工法について、①防振機能を内蔵した工具で突き出しの長いワークを加工できる②小さい径から大きい径まで1回で加工することができ生産性が高まる③ボーリング工具に切り屑処理のテクノロジーを付与した、と最新の製品動向を説明。JIMTOFへの意気込みを語った。
ボーリング工具の実演加工
技術セミナーの様子