11月下旬にオーエム製作所長岡新工場完成。在庫販売の本格化。即納体制の確立へ。JIMTOFでは研削機能付き「VTLex100M」を提案
佐脇社長
オーエム製作所の佐脇社長を訪問し、前期の業績に触れてもらいつつ、今期を見据えた立旋盤の需要動向をはじめ、ニーズに即した開発テーマの設定と取り組み、11月下旬完成予定の長岡新工場の新たな役割などについて取材した。
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前期は連結ベースで売り上げを計画通りに達成し、利益面でも予定の9割は確保した。
「中国経済の減速など、受注環境の厳しさに直面したが、注残に助けられた。今期は来期へと繋げていくためにも、回復が顕著になってきた航空機分野ばかりか、鉄道や造船関連、さらに半導体、建機などを対象に、立旋盤の需要の掘り起こし向けた活動を徹底していきたい」。
需要動向で最も気になるのがコロナ禍前まで社内シェア20%を占めていた航空機分野だろうか。
「柱のひとつで、まさに需要は『凍結』状態を余儀なくされたが、ようやく北米、国内共に設備投資意欲の高まりを見せ始めており、弊社ではVTLexシリーズの915~1600への引き合い、受注に期待が高まっている。具体的には今年後半から本格回復に向けた積極投資に舵を切っていくものと予測している」。
インバウンド需要を背景に、3年先まで計画が提示されているのが鉄道分野だと言う。
「海外からの観光客が再び、増加傾向を辿っており、設備の上でも、老朽化更新需要含め、車輪旋盤への投資が通常ペースに戻りつつある」。
このほか、造船分野も好調で、バルブ、ポンプ向けを中心に、中小型の立旋盤への投資意欲に期待しているそうだ。
「動きの鈍いのは、半導体と建機分野。前者は在庫調整に手間取っており、後者は景気の振幅の波が大きい。今しばらく、状況を注視していく段階だと言えようか」。
コロナ禍で伸長した分野にサービスが挙げられた。
「余儀なくされた結果でもあったが、売り上げを伸ばし、利益に貢献するようになってきた。外部の協力企業との連携強化を図り、拠点数も増やして、より良質なサービスの提供に努めていきたい。一例だが、コストダウンプロジェクトといった、目に見えるメリットを享受頂けるような計画も進めていきたい」。
人手不足という面では、無人化に寄与する機械の開発をはじめ、対話式プログラミングの刷新や高精度APC(オートパレットチェンジャー)の新たな展開を準備していくほか、JIMTOF2024では研削機能を搭載したVTLex1100Mを出展する計画だ。
また、11月下旬には長岡新工場が完成すると聞いた。
「昨年のメカトロテックでアピールした在庫販売を本格化させていく契機となる。新工場はVTLex生産に特化し、従来からの工場で在庫販売を展開していくNeoシリーズ、RT‐915の生産を担っていく。Neoシリーズで12台、RT‐915で24台をそれぞれ在庫し、販売に応じて補充、それぞれの台数をキープ。即納体制の確立を目指す」。
RT‐915は、長岡工場と播磨テクニカルセンターばかりか、OM上海、アメリカではシカゴ、マサチューセッツ、ヒューストンにそれぞれ1台ずつ常設展示する。
「即納で実績を積み、(弊社の機械が)納入に時間がかるというイメージを払拭して頂けるようになれば、顧客の選択にも幅が広がってくる。大きな武器となることは間違いないと思う」。
最後になるが、海外市場では、新たにインドを照準に入れた。
「まずは市場調査へ。特にRT‐915の需要動向を調査していきたい。ポンプやバルブ需要は手堅いと感じている」。