CNC制御機能付き高圧洗浄機メーカー、管製作所(山形県・天童市)訪問。スーパーG1チャック活用で残業時間はピーク時の半減以下。
「送りを最大で従来比50%アップが可能に」
創業者の管会長
管製作所は、今では日本でも有数のCNC制御付高圧洗浄機メーカーとして知られる。
「当初からの専用工作機械や治工具関連の部品加工も継続しているが、CNC制御機能を備える洗浄機製造が8割を占める。加工部品に付着した切粉を落とすのが洗浄機の主たる役割だが、バリ取り効果も期待されている」と創業者の管会長は語る。創業は1977年と言うから、あと3年で半世紀という節目を迎えることになる。
個人創業から1982年には法人化して、山形県内ばかりか、東京・晴海の展示会にも出展。業容拡大を追求していたところ「知り合いの商社の方が来場し、その後、ニーズを踏まえた、お話をお聞きする中で、汎用性の高い洗浄機製造の依頼を賜った」そうだ。
従来、顧客に見合った専用の洗浄機を手がけていたが、要望されたのは、汎用性の高い高圧洗浄機だった。
「当時はフロンガスを活用した洗浄機が多かったが、(フロンガスは)オゾン層を破壊するとして、製造中止を余儀なくされるという、時代背景のなか、新たな差別化製品が求められ、効率の良さも考慮してCNC制御の洗浄機で差別化を試みることにした」と言う。
そうして1992年4月、現在のCNC制御高圧洗浄機の初号機となる「KH-6」が全国販売されるに至った。
現在、用途に応じて5種類以上のシリーズ化がなされており、国内8割、海外2割の販売実績を誇る。
製造に従事する土田係長によると「洗浄機本体の部品点数はおよそ500点、付帯装置部品も合わせると700点を数える」そうだが「設計図面が回って来て、製造に着手。およそ1カ月で対応している」そうで、受注から納品まで含めると5カ月強、最も要求されるのが「スピード」だと言う。
ユキワ精工のツーリングとの出会いは3年前に遡る。
「取引商社との同行PRがきっかけ。従来から活用していたツーリングで刃物の『抜け』があったこともあり、スーパーG1チャックを試してみる機会となった」。
DMG森精機製「NVX5080」(40番主軸)にφ20ミリのカッタを装着し、送り条件を上げて試していった。
「送りは最大で従来比50%アップを図ったが、音も静かでビビリもなく、刃持ちも良くなった」ことから「精度はもちろん、速さへの対応メリットを痛感。その後、2022年に導入したオークマ製『mB-66VB』でも活用するようになり、DMG森精機と合わせスーパーG1チャック総数は40本を数えるまでに拡大した」。
スーパーG1チャックによる定量的効果では残業時間を挙げることができるようで、1カ月で、ピーク時80時間~100時間だったのが、今では30時間~35時間へと半減以下を達成したと言う。
「重切削加工の場合は、グリーンG1チャックを選定した。10本近く活用している」との棲み分けも奏功しているようだ。
「ひとつのツーリングで複数の径に対応できるコレットの魅力を感じる一方、φ32ミリといった太径への展開を期待したい」との要望が挙がった。
残業時間半減以下の成果をもたらしたと語る土田係長
DMG森精機製NVX5080でスーパーG1チャックをテスト加工、導入の決め手となった