インターモールド大阪で、レンズ形状の3枚刃エンドミル「MLFH330」をアピール。
切り込み、送りを上げて高能率加工に貢献する日進工具の新製品
宮﨑営業部長(右)と前川西部グループ長
インターモールド会場に宮﨑営業部長、前川西部グループ長を訪ねた。
◆
高精度+-0・002mm、鏡面Ra0・007μm、高硬度70HRC、精密微細φ0・01mm・・・ブース内には数値が並んだ。
「弊社ができる世界を数値化して、アピールした。ミクロンやナノの世界がすべてではないが、工具に対するポテンシャルへの理解を深めて頂ければと思っている」。
2023年度の工具メーカー各社をフォローすると、ほぼ一様に「厳しかった」との総括が目立った。
「弊社の顧客の8割は金型メーカーが占め、取り巻く環境で括れば『まだら模様』と判断している。今後も楽観はできない」としながらも「5軸加工への関心の高まりを感じるなか、昨年、仙台工場で5軸加工に関するセミナーを工場見学会と一緒に開催した。5軸の動きがリアルに確認できる実加工は参加いただいた方々の理解度を高める意味で、その効果は大きかったと思う」との手応えも語ってもらった。
さて、インターモールドにフォーカスすると、アピールされた製品群で目立ったのがレンズ形状の3枚刃エンドミル「MLFH330」と言う新製品だ。
「刃形をレンズ形状にすることで、切り込みや送りを上げ、能率_アップを図っていく。使用方法をご理解いただくことがポイントとなるので、我々のアプロ―チも、そこに重心がある」と言う。
生産性向上については、従来のボールエンドミルよりもピックフィールドを大きく取ることができるため、高能率加工に貢献しつつ、切りくずの大きさに対し十分なチップポケットを確保することで詰まりや嚙み込みによる突発的なチッピングを防止していく。
「従来品の2枚刃ボールエンドミルとの比較では、スタバックス(52HRC)、オイルミスト、加工サイズ14・5×30・8×3ミリの場合で、1ポケット加工時間が25分から15分に短縮。40%切り詰めることに成功している」そうだ。
コーティングは長寿命に貢献する「40HRC~65HRCの被削材を対象に最適な効果を発揮する無限コーティングプレミアム」を採用している。
「新製品以外で注力製品と言えば、やはりCBN工具シリーズを指名する。市場浸透を図り、シェアを上げていくことは継続課題であり、インターモールド会場でも、長時間、安定的に加工できるメリットを訴えた」。
切削負荷の少ない仕上げ加工で抜群の工具寿命を発揮しているシリーズで、とりわけ高硬度鋼加工で目を見張る成果を上げている。
「長寿命はもちろん、R精度やシャンク精度を高精度化すると共に、工具素材のCBN焼結体の特性を活かす独自の刃形状などの効果で、超微細切削加工の高精度化と長時間加工に貢献する」。またボールエンドミルでは「切削性を高めるスパイラルボール形状の採用で仕上げ面品位を向上させている」。
バリエーションが豊富にあるのも魅力だろうか。
宮﨑営業部長、前川西部グループ長それぞれの役職は昇格人事として4月1日付で、発令されたばかり。さらなる活躍に期待したい。
日進工具ブースでの様子
新製品MFLH330
模型を通じて特長理解に努めた