「最先端の自働化」で臨んだTHKのMEX金沢。モジュール化、AI技術の活用で差別化
良邊淳LMシステム営業本部中部営業統括部長
5月に開催されたMEX金沢のTHKブースを訪問。良邊中部営業統括部長に面談し、新製品を含む「見どころ」に関する取材を通じて、THKの「最先端の自働化」を紙面に落とし込んだ。
◆
THKは3月16日付の機構改革で、ガイドやボールねじに関わる「LMシステム」、ロボットハンドやOMNIedgeを擁する「FAソリューション」という、それぞれの営業本部を創設した。
「私は4月1日付で、埼玉・川越支店から、LMシステムに属する中部営業統括部に異動となった。北陸エリアは、着任以降、同行PRで、工作機械メーカー様を中心に足を運ばせて頂いているが、もの不足を意識され、在庫を持って頂いているのが現状で、今後の動向を注視している」と語る。
自働化の根底にあるのは、言うまでもなく、人手不足への対応だろう。
「LMガイドアクチュエータの『KSF』をモジュール製品としてロボットに組み込み、OEE(設備総合効率)最大化プラットフォームOMNIedgeとも連携しながらコンテナの移載の実演を行った。客先の現場に合わせた仕様対応が可能で、ヒトが担う作業からの解放をアピールした」。
KSFはコンパクトシリーズで、最大ストローク1500mmまでをカバーし、最高速度で2500mm/S、最大加減速で4Gを達成。走行寿命では2万kmを実現している。
「馳石川県知事も(MEX金沢会場に)来場され、現状の人手の不足について、言及されていた」と言う。
搬送の自働化、ロボット化を提案する「SIGNAS」は、リピート受注の実績が積み上がってきた。
「一度、現場で評価されると、違う現場への横展開が図られるようになってきた。内蔵カメラで目印となるサインポストを認識して、移動するが、このほど、0・5トンに加え、1トン牽引タイプも追加され、より幅広い用途に対応できるようになった。弊社の独自技術を搭載する制御システムは、AIによる監視、判断によって、閾値を決めなくともよくなったことも利点に挙げたい」。
OMNIedgeは直動部品の予兆検知を第一弾に、回転部品へと広げた第二弾、そして第三弾では切削工具の監視へとカバー領域を広げ、最新の第四弾では、資格や教育記録を一元管理し、可視化することでスキル管理を図っていく提案がなされている。
LMガイドに活かされている独自のコア技術を梃子として、THKでは、部品単体ではなく、ユニット化、モジュール化することによって、利便性を高め、AI技術によって、ヒトへの依存からの脱却を図り、人手不足に対応する。「解」は幾通りもあるように思う。
例えば、今回も展示されていた、ならいユニットは、「万能治具」に対応できる。省人化のみならず、省エネ、省力化にも寄与する「アイディア満載」のツールだと、再認識した次第だ。日本における人手不足は、永遠のテーマであり、需要の根源でもある。自働化のさらなる深化を期待したい。
MEX金沢では、自働化提案のひとつとして、コンテナの移載の実演を披露