ピーク材の溝幅加工で協和精工製「KRE-2」がヒット。
2018年以降は樹脂加工に特化して活用する志村精機製作所(東京・大田区)
志村社長
創業60周年を迎える志村精機製作所が、微細、精密、鏡面と言ったキーワードを意識し、面粗度や公差に拘った加工技術レベル向上を一段と志向するようになったのは、2017年辺りが起点になると言う。
志村社長は「機械設備として、剛性面の高さに加え、微細精密分野をターゲットとしてアピールしていた牧野フライス製作所のiQ300を導入し、精度への拘りを追求することにした。従来、屋台骨だったカメラや事務機器関連が縮小傾向を辿っていくなか、受注量を意識して、時計や医療、自動車などの多様な需要発掘を迫られた時期とも重なり合う」と語る。
現在、内視鏡、腹腔鏡、手術用ロボットなどの医療分野が3割を占めるまでに伸長しており、新たな主柱に育ってきた。
新規開拓を担った淺野専務は「欧米や東南アジア諸国などの展示会に積極的に出展するようになり、細穴、100分の1~レベルの微細加工をアピールして海外案件を取り込んできたことも貢献している」と補足する。
被削材で見ると、試作、開発を含め、SUS系の金属加工が最も多く、次いでピーク材などの樹脂関連、さらにセラミックの比重も高まってきている。
志村社長によると「iQ300導入時、切削工具は日進工具、MOLDINO、オーエスジー、ユニオンツールをメインにしており、協和精工は、特に考慮してはいなかった。ところが、1年が経過した、2018年頃のことだが、ピーク材の0・2の溝幅加工で、バリが出てどうしようもない事態に直面。何とかしようと、いろいろ試す中で、ヒットしたのが協和精工の超硬2枚刃のエンドミル。バリ問題が解消され、求められる溝幅がきっちりと出るようになった」そうだ。
この時、直接、解決してくれたのは、超硬リブ用エンドミル「KRE-2」で、以来、ピーク材を含む樹脂加工で協和精工製の比重が増えていき「今では樹脂加工に特化して活用し、アイテムで言えばボールやスクエアなどで8種類。工具費で推し量ると、多い時で2割程度を占めるまでに拡大している。剛性が高く、刃持ちの良さも魅力だ」(志村社長)。
ピンカドによるバリの抑制は、各工具メーカーによるアピールポイントだが「協和精工製は、現実に保証してくれている」。
被削材としての樹脂は、ものづくりにおいて、多様な展開を見せている。志村精機製作所にとって、協和精工製工具への期待は益々、膨らんでいくだろう。
ピーク材の加工でバリ問題を解決。「溝幅がきっちりと出る」
樹脂加工で高評価を得る