世界20カ国のバイヤーが注目した栄工舎ブース
来場した海外バイヤーは20カ国に及んだ
前回のJIMTOFよりも「収穫」が多かったとの声が、どのブースでも聞かれた。だが、その中身を吟味していくと、各社各様の話題に接することができる。
熊田実営業技術部長は「海外バイヤーの訪問が、ぐんと増えた」との説明に続き、名刺を整理しながら「韓国、中国、台湾、タイ、インドネシア、フィリピン、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ドイツ、デンマーク、パキスタン、トルコ、オーストラリア、カナダ、イギリス、オーストリア、メキシコ、ニュージーランド」と来場バイヤーの具体的な国名を挙げてくれた。その数、総計で20カ国、3分の2が初の来場となる。
大手にはない、日本の「味ある」工具メーカーへの評価の一端が、栄工舎を通じて伺えると言うものだ。
「マニアックな精密切削工具」と、日本の顧客から命名され、国内展示会での看板にも記され、活用され、親しまれている栄工舎。が、リーマ、カッターを中心とする、軸モノ工具の総合工具メーカーという側面を把握している人は「意外と」少ない。
「当社は、工具種で括れば、リーマの種類が断然、多いが、カッターのリピーターからは『リーマも造っているの?』と聞かれたり、逆にリーマのユーザーからは『カッターやエンドミルもラインナップしているの?』と聞かれたりする。事実、今回のJIMTOFでも、知らない方が相当、見受けられたが、アプローチ次第では、まだまだ、伸び代は十二分にあることを示していると捉えている。図面、サンプルをブースに持ち込まれて、相談を持ちかけられるケースが常態化してきていることも、追い風にしていきたい」と言う。
シャンクスル―タイプのリーマや切れ刃が180度の複雑な加工に対応できる「球面カッター」などは、リリース時から好評を得ているアイテムの代表に挙げられようが、展示会のブースで必ずと言っていいほど「即、チェック」されるアイテムに「タップリムーバ」がある。破損タップを取り除くツールであり、常に話題に挙がる。
「展示会をはじめ、商社との同行PRやプライベートショー、いろんな場面を通じて、宣伝しているものの『知らなかった』と言う声が後を絶たない。破損したタップを素早く取り除いていくことで、本来の加工に立ち戻れる。『保険』の意味でご購入いただければ」というセールストークも熊田部長の口から出た。 来場者の仕事量は、様々ではあるが「効率の良い工具を探しに来た」ことは共通項で括れるだろう。
魚沼市にある栄工舎の新潟工場は、新たに隣接地を購入したことで、前工程を担っていた「広神工場」の統廃合に踏み切る計画で、来春着工。恒温室を設置し、精密工程は新工場に移される予定だ。
「ものづくり補助金を活用した設備投資が続き、ここ数年で、生産余力が格段に上がっている。営業サイドでは、頂いた宿題などを消化しながら受注活動で結果を出していけるようにしていきたい。景況の変化のタイミングでは、年度変わりがポイントになると思っている」と熊田部長は結んだ。
マニアックな精密切削工具との評価を受ける栄工舎