グーリングがKFカーバイドを吸収合併。「グーリングカーバイド」ブランド浸透へ。
グーリングジャパンのピーター社長(右)とKFカーバイドジャパンの森社長
グーリングがこのほど、傘下グループ企業である超硬素材メーカーのKFカーバイドを吸収合併した。日本国内での今後の展開はどうなるのか。JIMTOF開幕前というタイミングでもあり、この点でのアピールも踏まえ、ジャパンの責任者であるピーター社長、森社長に共同インタビューを行った。
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KFカーバイドジャパンは、グーリングジャパンのカーバイド事業部として再発足すると言う。
森社長は「グーリング名古屋工場に移設する。当面は、場所が変わるだけと思って頂ければ」と語りつつ「(名古屋工場には)円筒などの研削設備もあるので、フォロー強化を含めた付加価値をアピールできるようにしていきたい」との抱負を述べ、ピーター社長は「昨年のEMOショーで、すでにKFが『グーリングカーバイド』に移行するというアナンスがなされていた」と補足した。
合併の経緯について、約5年前から、物流部門がベルリンに集約されるなど、本国ドイツの超硬製造3拠点の合理化が進捗。超硬ブランド名も併存していたベルリンカーバイド、KFカーバイドが2023年からグーリングカーバイドに統一され、今回の合併は営業ブランドの統一に基づいたものとなった。
KFカーバイドジャパン、グーリングジャパンそれぞれの現状を見ていこう。
森社長は「昨年の半ばから好転し始め、売り上げの骨格を成していた航空機分野が復活した。リサイクルパウダーを使用したGC100Fが、コストメリットのみならず、ビビリを抑制し、工具寿命の伸長にも寄与して、評判がいい。靭性の高さが、難削材の領域で成果を出している」と総括し「自動車関連の需要好転にも期待したい」と語る。
吸収合併後もドイツのベルリン、クルムバッハ、ツルナウの3超硬製造拠点は継続し、ツルナウ工場(写真)はリサイクル製品の開発、製造拠点を兼ねることになる。
ピーター社長は「工具の売り上げは、昨年比横ばいで、従来からの素材部門の販売は好調」と今期を振り返りながら、JIMTOFでは、以下の製品のアピールに努める考えだ。
▽RF 100 AL Micro・・・アルミ加工用のマイクロエンドミルで、高速での加工性能と長寿命を実現した新しいツール。面取りとコーナーRの2タイプを取り揃える。
▽FB 200 U・・・3枚刃のフラットドリルで、180度の穴あけを可能とし、傾斜面でも高精度加工ができる。送りでは、従来比50%上げることが可能だ。
▽InoxPro フルートレスタップ・・・ステンレス用のタップで、工具寿命は従来比2倍。
「切削工具以外では、3Dプリンターノズルを披露する。ダイヤモンドチップを採用したユニークな設計で、研磨性の高いフィラメントにも対応し、優れた耐摩耗性と均一な材料押し出しを実現していく」。
工具管理システム「GTMS」も必見だ。
超硬合金素材の拠点工場のひとつ、ツルナウ工場