海外比率15%に到達した協和精工。工具種では、実績積むPCD工具分野

協和精工株式会社

協和精工株式会社

鈴木社長

協和精工は、超硬、PCD、CBNと多様な工具種を扱い、特長を押し出しながら、小径の特殊工具(オーダーメイド)需要への対応の点でも顧客から高い評価が下されている。今後の方向性をどのように読み解けばいいのか。鈴木社長を訪問し、この間の特徴的な動きを中心に取材しつつ、テーマや課題に迫ってみた。

 変化と言う点で括ると、海外比率が急ピッチで拡大している。
 「5年前は海外が約5%程度だったが、今では約15%を占めるまでに拡大し『海外は当たり前』になりつつある」なか「東南アジアを中心に、PCD工具に対する問い合わせや案件が激増している。しかも、求められる内容は、多種多様で、特殊品が基本。結果として、顧客が納得する形状や品質への対応力が問われるようになってきている」。
 また、国内では、半導体製造装置部品やセラミックス系部品といった、硬脆材加工でPCD工具の採用が増えてきている点が見逃せないだろう。
 「PCD工具に期待される付加価値を上げていくためにも、機械メーカーとのタイアップが不可欠となっている」ばかりか「腕時計の(ケース)加工という、ユーザー目線を併せ持っていることも、差別化で活かしていく重要なポイントになっている」。
 海外需要という点では、東南アジアばかりか、欧州主要国であるドイツやスイスに代理店を擁しており、ホームページ経由を含め、医療関連や高級時計部品などの精密加工関連の分野からの引き合いが発生。ワールドワイドでの更なる需要拡大を見据え、語学能力を備えたマンパワーの強化を勘案しつつ、ユーザーからの疑問や質問に即応できる体制を構築しつつある。
 協和精工に即した、PCD工具全体を取り巻く環境という点では、アルミや単結晶シリコンといった被削材が増え、需要層で捉えれば、半導体分野が、ここ数年で目を見張るような伸長ぶりを示しているそうだ。
 「昨年のJIMTOFでは、この点を踏まえ、被削材別の工具使用例を、切削条件や加工サンプルとともに提示し、需要を探っていく場に設定した」。
 ブースでは、問い合わせが増えている半導体材料のSiC(シリコンカーバイド)をはじめ、単結晶シリコン、アルミナ、チタン、ジルコニア、アルミ、アクリル(樹脂)といった多様な被削材を俎上に乗せて提案。来場者からは「今の時流に合致した製品が多く参考になった」といった手応えを得た。
 「弊社の受注内容はオーダー品5割、カタログ品5割と言う構成だが『標準でも細かいピッチに対応可能』『小径特殊品の信頼性の高さ』といった特長をさらに際立たせていきたい。そのためにも、新製品のリリースは欠かせない」との課題を設定する一方「展示会では2回目となった5月のメックス金沢に加え、10月のメカトロテックに初出展を計画。訴求力を高めていきたい」と訴えた。


SiC加工サンプル