センタースルーのスピンドルを開発した碌々スマートテクノロジー。深穴需要に「照準」(矢野社長)早ければ5月にリリース

碌々スマートテクノロジー株式会社

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矢野社長

碌々スマートテクノロジーの矢野社長を訪問し、2024年度当初からの需要動向を紐解いていただき、業績への影響を後付けてもらいながら、2025年度の計画、課題、目標等について取材を行った。


 「前年度は、7月以降、受注が盛り返し、振り返ると、売り上げは、当初の計画を上回り、受注ベースでは同10%増を達成した」。
 総じて上半期は「がまん」を余儀なくされ、5月以降から風向きが変わり始め、特に台湾の顧客からの「生成AI向け」需要の高まりで、夏までに受注回復に寄与する一方、中国市場からは半導体関連需要を取り込み、受注拡大へと繋げた。
 「機種で見ると、台湾ではAndroid、中国ではMEGAの受注が目立つ。特に半導体関連では検査体制の強化が追求され、後工程に加え『前工程でも検査を!』という流れに乗って、予想を上回る受注を獲得できた」。
 以上が矢野社長による2024年度の総括となるが「一言、申し添えてコメントさせて頂ければ、ソリューションカンパニーとして加工提案や(顧客の)困りごとへの対応には常に腐心した。ただ単に(需要の)追い風に乗ったわけではない」とのコメントも。
 昨秋のJIMTOFでは、切削ばかりか、研削までワンチャッキングで行える複合微細加工機「AndroidⅢ-MT」の提案やMEGAⅦ、高速主軸が採用されたVisionが披露され「決まった案件が多かった」ことも、秋口からの回復を加速させる要因となった。
 ところで今期はどのような計画を策定して、前進していくのか。
 「前期に比べると抱えている案件数が格段に多く、見通しとしては明るい。受注ベースで前期比10%増を掲げた。生成AIによって新たな微細加工領域が生まれ、需要を押し上げていく要因となるほか、光コネクタなどのデータセンタ絡みの需要は今期も見込める」。
 直近のニュースとしては、φ1ミリのドリルを想定したセンタースル―のスピンドルが開発され、早ければ5月にもリリースされる予定と言う。
 「深穴加工需要の高まりを想定したバリエーションのひとつで、Vision、CEGA用として準備した。電着砥石を使った加工の増大も意識している」。
 矢野社長は、加工の相談を受けられるような、日ごろの顧客との接触を大切にする。
 「日ごろの付き合いから生まれる、まさに信用、信頼こそが、困りごとを携え、弊社と交流いただける原点であり、その事案が解決できれば、弊社の開発力アップにも繋がってくるし、商機にもなり得る」。
 最後になるが、今期(からの)目標として①半導体市場からの横展開②製造原価が上昇し続ける中、コストを上げずに生産する方法の模索③人の採用は継続するが職人が従事する内容のDX化の追求④東南アジアの強化・インドの市場調査‐を掲げた。


具体的な案件が多い、実りあるJIMTOFだったと言う