古川ソディック新社長インタビュー「お客様に育てられた視点、今後も」
古川健一新社長
- 2018年3月29日‐株主総会後の取締役会で、古川健一副社長の社長昇格が正式に承認され、この日、創業家目線で見れば2代目のトップが誕生した。創造(So)・実行(di)・苦労克服(ck)‐社名の由来であり、社是にも掲げられているソディックは、1976年の創業以来、常に技術的課題に挑戦し製品化し、顧客をサポートしてきた。今後、何を継続させ、新たに何を創造していこうとするのか。横浜本社に古川新社長を訪ね、紙面化を試みた。
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- 将来への布石とでも言うべき、「研究開発棟」がこのほど本社敷地内に完成した。技術力で勝負しているソディックの、新社長誕生に花を添えるエピソードと言えるだろう。
- 「開発の方向性は、お客様からのニーズや要望に耳を傾け、テーマを具体化し、その課題解決に向けて取り組んできた、従来からの方針を堅持する。当社は、お客様に育てられた。私自身、可能な限り、客先に足を運び、展示会等にも出向いて、ご挨拶させて頂く機会を持とうとしている」。
- 経歴に触れると、金融系の企業に就職、その1年後の1999年にソディックのアメリカの販売会社に入社した。
- 「テスト加工の立ち合いや、客先からワークを預かり加工して、お届けしたり、また、社内では加工技術、アプリケーションに関する知見を教わりながら『自社の機械を知る』ことに努めた」。
- 2003年に本社に戻って以降、IR担当としておよそ4年間活動し、2007年には現在の食品機械部門の前身であるトムソディックの社長、2008年に取締役財務部長、そして2014年6月に副社長に就任。4年にわたって、金子社長をサポートしてきた。
- 12月決算に変更した2017年度は、過去最高の売上高、利益を達成。昨夏7月辺りで生産のピークを迎え、部品在庫の逼迫も経験した。ハイスペックな放電加工機市場は現在、1000億円を超えるレベル。うち、ソディックは420億円を占める。台数ベースではおよそ4000台だそうだ。
- 「加賀事業所内で建設を進めている、射出成形機やマシニングセンタ、放電加工機など、フレキシブルかつ増強に対応する『マルチファクトリー』は年末には完成する。日本国内では、久しぶりの新工場となるが、ソディックグループ全体のマザー工場に位置付けている。金子社長時代にスタートした金属3Dプリンタ事業は、射出成形機とのコラボレーションも追求し、射出成形機もマグネシウム、アルミニウムといった各部品の新規顧客へと提案の幅を広げている。セラミックスのステージではユニット化したものを液晶や半導体装置メーカー向けに新たな販売の仕掛けを模索している」と、足元を踏みしめつつ、近い将来に向けた「絵」がすでに描かれている。
- 「働き方改革を意識し、お盆に集中しがちな休日の弾力的な運用やIoTの活用を通じて仕事の効率を上げていくなど、社員の働きやすい職場環境にしていきたい」。
- 神奈川県出身の45歳。
本社敷地内に完成を見た「研究開発棟」。6月から移動が始まった