イスカルジャパンがユーザーテクニカルセミナー開催。イスラエル本社マネージャー来日し、EV部品加工用工具を提案。
デモンストレーションの様子-
イスカルジャパンは、神戸テクニカルセンターで、自動車部品加工ユーザーを対象に「2022 Automotive UTS」を開催した。主なテーマは、EVを含む自動車部品加工用工具の提案で、イスカル本社から来日したオートモーティブマネージャー、ヤイール・セレック氏によるセミナーとデモ加工の2部構成で、ユーザーに有益性の高い話題を提供した。
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冒頭、挨拶に立った岡田代表取締役は「UTSは2006年からスタートし、ユーザー様の現場の生産性アップ、加工改善等を促してきた。イスカル社は、世界2位の切削工具メーカーに成長しているが、その要因として、限りない技術革新に対する(顧客からの)評価にあると自負している。EVを含む自動車部品加工の海外事例を国内自動車部品加工関連のユーザー様への情報シェアイベントとして理解いただければ」と訴えた。
登壇したセレックマネージャーは、「2030年まではハイブリッド車が大きく伸び、エンジンの搭載数も増えていくだろう」と語る一方「電動化の波はバスからトラックへと移行しながら、商用車はゼロ・エミッションへの道筋を辿っていく。
一般のEVでは、2021年は中国で350万台が販売されたが、これは、他国で販売された総数よりも多い」と、予測に現状を交えた自動車産業の概略を述べた。
EVおよびEV部品について、電気モータハウジング、ローター、メインシャフトについてフォーカスしつつ、呼応する適切な工具が提案された。
電気モータハウジングでは、PCDロウ付けカートリッジ調整式のフェースミルをはじめ、穴あけと面取りが可能なヘッド交換式ドリルSUMOCHAM、H7公差を実現し、高送りが可能なヘッド交換式リーマBAYOT-REAMなどが紹介され「イスカルのPCD工具を通じて、テスラ社のモータハウジング分野でプロジェクトがスタートした」とのトピックスにも言及。
ローター加工でもSUMOCHAMがバランス穴加工で実績を積み重ねており、メインシャフトでは、深穴加工でTRIDEEPが3段チップスプリッターで威力を発揮している。
EVになっても、使用される部品として、ステアリング、等速ジョイント、ホイールハブなどの足回り部品が指摘された。要チェックだろう。
さらにイスカル社全体では、個別の自動車メーカーとの間で、ワーク図面や設備情報提供を通じたツール提案やビビリ対応のチームを編成するなど、個別のユーザーでも成果を挙げている。
デモ加工では、TANGMILLを用いたステアリングアームの2面同時加工や、SUMOCHAMヘッドを装着した特殊工具によるテーパー穴加工、ベアリング穴のリーマ加工などが実演された。