拡販本番迎えるPVDコーティングの最前線「BALIT ALCRONA EVO」エリコンジャパン・バルザース事業本部
「工具寿命を30%以上伸ばす」

GTJでアピールする寺原プロダクトマネージャー
ツール事業部の業績は、工具、金型双方の需要にストレートに関係してくる。近況はどうか。グラインディングテクノロジージャパン(GTJ)に出展していたブースに寺原プロダクトマネージャーを訪ね、この間の動向を後付けてもらいつつ、訴求している提案内容について取材を試みた。
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まずは金型関連に触れて頂く。
「2010年から金型のジョブコーティング事業が堅調に推移し、我々としても、この需要を一貫して追求してきた。結果的に、毎年、売り上げを更新し、およそ10年後の2019年には、4倍という大幅な伸びを記録するまでに成長した。だが、2020年からのコロナ禍によって、受注に歯止めがかかり、一転、下落に転じた。今思えば、新たな型需要が発生しなかったことが大きいと思う」。
金型メーカーも「勝ち組」が鮮明になって、総需要が一段落しているのも影響しているだろう。
では、切削工具の分野はどうか。
「再研・再コート需要は堅調で、ユーザーサイドではコーティング設備を有していないため外注に出す、その再コート需要を取り込んでいる」。
製造工具向けの落ち込みを補完している、とも付け加えた。
切削工具向けのコーティングでは2004年にリリースされた万能PVDコーティングの進化バージョン「BALINITⓇ ALCRONA EVO」が提案されている。
「昨年3月からワールドワイドで展開し、ちょうど1年が経過した。膜を2層にして、生産性能をアップさせるとともに、コーティング特性を強化することで工具寿命を30%以上伸ばすことができる。ソリッド、インサートともに適用可能だ」。
日本国内では、大手自動車関連メーカーを中心に採用が高まってきた。
「様々なテスト加工を経て、採用へと至るケースがほとんど。なかには、全面的に切り替えて頂いた現場もある」とは言え「市場全体を見渡せば、これからが本番。拡販に向けた活動を本格化させていきたい」。
主なメリットとして①耐摩耗性の向上②性能そのものの向上③剥離リスクの低減④ハイス工具のクレーター摩耗の低減⑤工具コストの削減と持続可能性の向上・・・等が挙げられた。
切削工具向けでは、ホブを中心とする歯切り工具をターゲットとした「primeGear」も要チェックだろうか。
「再研後の再コート前に、(現場の)機械や加工条件等のヒアリング、コンサルティング業務を含めた工具処理を施すサービス。『立っている刃先のエッジを丸める』最適化処理などを通じて、工具の長寿命化に寄与しつつ、生産コストを最大で40%削減する」。
さらなる需要を刺激し、深彫りしていく段階を迎えていると言う。
超硬エンドミルやハイスのホブへの「BALINT ALCRONA EVO」の適用例を出展、アピールに努めた