サンドビックが耐熱合金セミナー開催。旋削、転削各テーマで、実践的なアプローチを披露
10回目を迎えた、耐熱合金セミナー。(写真は、川向エアロスペースビジネス推進部部長)
- サンドビックコロマントカンパニーは、耐熱合金セミナーを名古屋本社で開催、加工技術にフォーカスし、10回目を数える節目となったことも注目された。
- 冒頭、川向エアロスペースビジネス推進部部長が挨拶に立ち「当社は、最適な工具の提供に努めるため、R&Dには業界平均の2倍を投資。有効なパテント数も600を数える。加工技術は、とりわけ航空機分野でその重要性が高まる」と、開発への積極的な姿勢を明確にした。
- セミナーでは、旋削加工、転削加工の各ポイントが明らかにされた。
- 旋削加工では、航空機部品を構成するニッケル及びチタン合金の被削性指数が鋼の10%~25%、形状は薄肉で複雑との特徴を挙げながら「検討当初から、最良の加工方法とツーリングに投資することが重要」と指摘。
- 「耐熱合金加工では、境界摩耗をいかに抑制するかがポイント。最大切込み量は、チップの直径の15%が最適。チップ形状では、丸駒チップが高能率加工を実現していく」と語る。
- セラミック材種も耐熱合金加工で、高い生産性を実現するが、欠けへの加工方法、プログラミングといった配慮の必要性のほか、境界摩耗を起こさないための「切込み角45度以下での使用が最適」と指摘した。
- サンドビック製品に即しては、旋削工具史上最大のイノベーションを唱えて、このほどリリースされた「コロターンプライム」が紹介された。
- 「高送りによる高生産加工、内部給油による刃先冷却効果によりチップの高寿命化を図れる。また、外径、端面、倣い、ぬすみ・・・といった多様な加工に対応できる。さらにバックターニングによって切りくず詰まり防止も実現している」と言う。 転削加工のポイントでは「小さい切込み角度、丸駒チップにより初期の境界欠損の解消を図る。コロミル300が最も効果的な結果をもたらし、切削速度が25m~30m/minが寿命と生産性の最もいいバランスを保つ」。
- カッターの進入方法では「ロールインパス」で対応「刃の抜け際で常に切りくず厚さがゼロとなり振動を抑制。工具寿命を低下させない」。現実的に「カッター径+2ミリ」を目安に進入を試みることだと言う。
- 超硬ソリッドエンドミルでは、コロミルプルーラによるインコネル718の加工事例が紹介され、トロコイド加工による安定性に推奨のポイントが挙がった。
- セミナー後は、実作デモに移り、丸駒チップによる進入方法による違い、切込み角度の工具摩耗に対する影響などを検証した。
セミナーの様子
デモ加工に見入る参加者たち