外販比率9億円突破へ。納期遵守徹底が課題に。継続する設備投資。
吉川社長
- 「設備のリセット元年」をジヤトコツールが打ち出したのは、営業強化による受注拡大への対応、特に納期遵守の徹底がある。
- 吉川豊社長は「今期の外販比率(ジヤトコ向け以外の売り上げ比率)は7割近くを占め、規模で見れば9億円を突破する見込み。過去最高の水準であり、その中で、課題の中心に挙がってきたのが顧客満足度アップのための納期遵守。サイクルタイムを上げていきつつ、品質を向上させていく設備投資は避けられない」と語る。
- 今期の主だった設備投資といえば、MAAGの超精密研削盤、不二越のブローチ盤、中村留精密工業の複合旋盤など。4月までに宇都宮製作所のTGR200も据えられる予定で、総投資額はおよそ3億円にのぼるだそうだ。
- 「昨年は春先から徐々に(外販の)受注が増え始めていき、特に10月以降、繁忙を極める事態に突入。その一方で、並行して進めていった、新規設備の稼働が安定するようになってきた7月からは、営業利益が目に見えて拡大を辿るようになってきた。従来比3倍の利益、と言う事態も不可能ではなくなってきた」と言う。
- 拡大する受注と新たな設備導入、それぞれの「歯車」がうまく噛み合い「利益」に直結、理想的な運営を演出していると言えようか。
- 「仕事内容を吟味すると、総じてドリルの再研磨が増えてきた。対応できる企業が限られているのか、案件数も多い。歯車関係も忙しい。また、12月からはダイヤモンド工具の製作ニーズが高いことから、その体制も整えた」そうだ。
- 奏功している営業面でのポイントは「売上高目標の設定」にあると言う。月次の売り上げ見通しを常に実績が上回っている。
- 社内の共通意識として「何軒回っているか、その頻度は、多いか、少ないか、を把握しつつ、全員が技術営業で対応し、下期からはルート営業を復活させた。商社ルートの積極的な活用も常に追求している。エリアでは、今後、関西地区の強化が念頭にある。外販は(対応次第では)増える、という意識を持って取り組んでいくことが大事だと思っている」。
- 繰り返しになるが、納期遵守は社内全体の共通の認識、共有すべき課題として、今後もいろんな場面を通じて徹底が必要、と吉川社長は説く。
- 目を海外に向けてみると「2年が経過したメキシコは、計画以上に外販が増えている。日系企業に限定されているが、金型用のエンドミル、PCD工具の再研磨で量的な対応が期待されるようになってきている。1年目の中国は、出張ベースで営業、製造ともにサポートしながら、需要への対応とともに研磨での課題を模索している」という状況にある。
- 2017年の予測について吉川社長は「為替に関連するが、たとえば中国。再び1元=20円となるような事態になれば、工具の修理・修正が日本に戻される可能性が現実味を帯び、その種類、量ともに半端ではない。受注量の大幅な拡大が期待できる。歯車工具の中国市場への販売においても、フォローの風が吹く。早い話、当社にとって、円安は歓迎ということになる」。
- 順調な受注を受け、来期の設備投資は、今期以上の規模になる。
- 外販のボリュームが10億円を超える、そんな日も遠くない。