マパール設立20周年、JIMTOF会期中記念式典挙行。

マパール株式会社

マパール株式会社

舟橋社長とクレス上級取締役

 

日本のマパールが「成人式」を迎えた。

JIMTOF会期中、自動車メーカー、工作機械メーカー、取引代理店といった、日本のマパール設立から、相互に信頼を築き上げてきた大勢の関係者が、都内のホテルで開かれた20周年記念式典に参集、会場を埋め尽くした。

 

ドイツ本社からDr・ヨハン・クレス上級取締役、アーミン・キャスパーアジア地区担当セールスディレクターほか多数の幹部が顔を揃え、日本のマパールから舟橋社長をはじめ技術・営業の幹部がホスト役を務めつつ、来賓では小金井精機製作所の鴨下会長、清水伸二上智大学名誉教授がそれぞれ、祝辞を述べた。

 

「飛躍を期す」‐力強い決意のもと、舟橋社長は、冒頭のあいさつで三郷本社の隣接地に、現在の2倍の面積に当たる土地を購入したことを明らかにした。

日本のマパール設立は1996年、以前は代理店経由のビジネスが中心で「拡張の必要性を感じ、立ち上げた」とのドイツ本社の意向も示された。

 

Dr・ヨハン・クレス上級取締役は「(幾多の段階を経て)今や、インダストリー4・0、自動車の自動運転、CO2のさらなる削減といった、我々を取り巻く環境、産業が大きな転換点を迎えている。今後ともいっそうの協業を(参加された皆様と)進めていきたい」との抱負を語りつつ、直接の仕事を眺めても「ターボチャージャー」「シリンダーヘッド」等で「加工を巡る大きな変化が出始めている」と現場での変化にも言及した。

 

鴨下会長からは、ドイツ語で祝辞の挨拶、そして乾杯。宴に入ると、ドイツ側幹部、日本の幹部が、出席者の席を回り、歓談し、日ごろの協力に謝辞を述べ、清水名誉教授は「ツーリングに画期的な技術を導入、マパールの先進的な取り組み」に賛辞を呈した。

 

そして宴の終焉ではクレス上級取締役が「30年前に日本との関係が始まった。日本の文化に出会えたこと、学べたことが世界のビジネスで役立っており、感謝している」との謝辞に続き、舟橋社長は「私も70歳になります。皆様のおかげで、当社の若い人も育ってきました。どうか、今後とも末永いお付き合いを、マパールをどうぞ、宜しく」と締めくくった。

 

 

マパール(ジャパン)設立20周年記念レセプション

アジア地区担当のアーミン・キャスパー

    セールスディレクター、舟橋敏行社長らが出席
マパールは、東京ビッグサイト会場で、専門紙・誌記者を対象に設立20周年記念レセプションを開催。設立の経緯や現在の売り上げ規模、注力する産業など、日本を含むマパールの全体像について言及した。

アジア地区を担当するアーミン・キャスパーセールスディレクターは「設立は1950年、現社長のDr・クレスの父が創業。1954年にはプライマリ―リーマをリリースし、その後、クレス現社長が入社して以降、製品開発に力を入れ始め製品群が格段に増えていき、さらに息子のヨハン・クレス上級取締役がR&Dに注力し、自動車向けの工具でスタートした当初から、航空機向けや風力発電といった分野をターゲットとするに至った」との経緯に触れた。

 

2015年の売り上げ規模は5億4000万ユーロで、今年は「5億8000万ユーロにアップする予定」。従業員数は4800人と言う。

「エリア別の売り上げシェアでは、ドイツ38%、ドイツ以外の欧州で22%、アジアで27%、北米で13%の割合。世界43カ国に拠点を擁する」グローバル企業だ。

 

ドイツ本社は、シュトゥットガルトから東約70キロにあるアーレン。ほかにPCD工具、超硬工具、ツーリングなど、製品ごとに手がける6拠点ある。

アジア・アセアン地区の拠点を俯瞰すれば、インド、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、オーストリア、台湾、中国、韓国、そして日本がある。

「顧客の産業別では、自動車業界が75%、航空機産業で20%、風力発電関係で5%。自動車では、シリンダーブロックやトランスミッションなどのパワートレイン系が中心」であり「機械加工でのアプリケーション的対応に腐心しており、単なる製品の販売に終わらない」のが特徴だ。

 

また、ジャパンに即しては舟橋社長から直接、説明があり「1996年に設立し、本年で20周年。2度の拡張を経て、現在、埼玉・三郷に工場を併設した本社を構える。10月1日付で、私自身は入社13年目になるが、一番、厳しかったリーマンショック後の2009年においても、誰一人として解雇しなかったことを自慢にしている。国内は、浜松、名古屋、大阪、広島、富山に出先があり、自動車メーカー、工作機械メーカーあるところ、マパールあり、と思って頂ければ」と語った。

工作機械メーカーでは、ターンキー対応で忙しく、自動車関連に強いメーカーとの関係がとりわけ緊密だ。JIMTOF会場では、このほか、工作機械メーカーに刃物を提供し、デモ加工での評価に繋げている。

「単なる工具の量産メーカーではない。一回のオーダーで何千点ものアイテムを提供する、言わば、ユーザーと一体となって、ものづくりを標榜する企業。他社では決して真似ができない」。

 

三郷本社隣接地に用地を取得 2021年には現在の販売を2倍へ

 

2021年には現在の販売を2倍へ、との目標を掲げ、現本社の隣接地をすでに購入したというニュースも飛び出した。

特殊モノ、修理への即応ほか、細かなニーズへの対応を想定してのことだろう。

「近い将来、重要になるとの認識で取り組んでいるプロジェクトのひとつにMQLがある。環境やコストなどを考慮すれば、全産業に適用でき、間違いなくブレークしていくと考える」との展望も舟橋社長から披瀝された。

最後になるが、ひとつ付け加えていきたいのが電気自動車などの量産が現実化したとき、エンジンやミッションがなくなり、切削加工の領域はどうなるか、との質問に舟橋社長は「私は業界で50年間、お世話になってきた。たとえば、旋盤はなくなっても、穴あけ加工はなくならない。そこには常にマパールの仕事がある」。

舟橋社長の信念に揺るぎはない。

 

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乾杯の発声をした鴨下会長

 

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清水名誉教授は、マパールの先進技術を称えた

 

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記者会見で質問に答える舟橋社長(真ん中)

 

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ブースのアテンドに当たっていた小堀技術部長(右)と黒滝技術担当。

ヘッド交換式の3枚刃ドリルの新製品「TTDトリタンドリル」をはじめ
多数の製品群で、自動車や航空機業界にむけて、新たなソリューションを提案した。