2024年の生産金額は5000億円達成が目標。EV化による次世代工具需要を期待。日本機械工具工業会年頭所感。

一般社団法人 日本機械工具工業会

一般社団法人 日本機械工具工業会

五島会長

2024年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。平素から、関係各位のご支援、ご協力に対し、心から感謝申し上げます。
 まずは、昨年度の当工業会の生産額は、約4800億円と一昨年度を下回りました。中国経済の鈍化と、ロシアのウクライナへの軍事進攻、またイスラエル、パレスチナ問題による原材料の高騰を受けた景気後退により、輸出が減少した事が大きな要因であります。
 そこで、2024年の目標としましては、まず、生産額5000億円の達成です。EV化が進む中、工具需要も減少していることは確かであり困難であることは承知しておりますが、EV化により、別の部品や、新たに主力となる被削材にシフトすることによって、次世代の工具需要が見いだされる事を期待し、5000億円の目標を挙げさせていただきます。次に、5月に開催されます、WCTC世界切削工具会議を成功裏に収める事です。今回のWCTCでは、各国、各エリアでの工具生産額を取りまとめ、統一した工具需要を纏める事を目標としております。これにより、当工業会、ひいては会員会社の皆様の世界的な立ち位置が見える事となり、日本国内だけではなく、海外に需要があることが明確になると思います。その他にも様々な企画を準備しておりますので、会員の皆様方には是非ご参加をお願い申し上げます。
 ところで、今年の干支は辰です。辰年は時代を動かす、「変革(転機)」や「激動」の年と言われています。冒頭にも申し上げましたが、ガソリン車からEV化へ、また、DX等、主に製造業での働き方が変わっていく大転換期、社会が急激なスピードで変わっていく時代であります。我々はその中でどの様に生き抜いていくのか、どの様なワークや被削材が主流になっていくのか、それに応じた工具や、加工法はどんなものが出てくるのか、私自身、非常に楽しみにしておりますし、工業会としてもその大転換期に対して、各委員会を通じて、後押しできるようにしてまいりたいと思っております。
 また、今年の7月前半を目処に新紙幣が発行されます。1万円札の渋沢栄一、5千円札の津田梅子、千円札の北里柴三郎が新たに登場します。この3名に共通する事としましては、3名とも海外留学経験者です。渋沢栄一はフランスに留学し、後に約500社もの企業の設立に関わり、日本経済の基礎を築きました。津田梅子はアメリカに渡り、新しい女子教育のスタイルを作り、女性の自立を推進することに尽力し、北里柴三郎はドイツで破傷風血清療法を確立、後にペスト菌を発見し、近代日本の医学の父と呼ばれるようになりました。つまり、海外を経験したことで、多くの知識を吸収し、それをその分野に役立てた方々です。会員の皆様には、国際委員会が提案しておりますIMTS(アメリカ)、EMO(ドイツ)を始めとした海外展示会へのツアーや、実際に出展を体験され、多くを学び、自社の発展に寄与していただきたいと願っております。
 最後になりましたが、日本機械工具工業会会員の皆様の一層のご活躍と、辰年に昇龍のように、飛躍と発展を祈念いたしまして、年初のご挨拶とさせていただきます。