三菱マテリアル・中部テクニカルセンターでオープンハウス。自動車関連ユーザー150人以上来場
航空機セミナー
- 昨年6月13日の開所以来、およそ半年間で4000人以上の来場を見ている、三菱マテリアル・中部テクニカルセンターで、オープンハウスが開催された(2017年12月2日、3日)。
- 「今回のオープンハウスでは、会社の幹部の方ではなく、実際に工具を使っている現場の方をご案内した。地域で見れば、岐阜・愛知の方が多く、業種的には、自動車部品関連ユーザーがメイン」と、斉藤貴宣副センター長が説明する。
- 中部テクニカルセンター来場者は①客先で、三菱の工具を使う前にテスト的にワークを持参し、確認する②工具における課題を携えて来場する‐に大別できるそうだが、オープンハウスでは、多様な工具の提案ほか、デモ加工やセミナー等の実施を通じて、この2者の潜在需要の掘り起こしに努めた。
- 主な加工実演を挙げるだけでも、ブリスク加工や次世代工具(JTバイト、超軽量化工具、切り屑吸引工具)、CFRP加工、航空機部品加工、医療部品加工など実に多彩で、筆者が顔を出したのは、切り屑吸引式工具(Qing NEO)とCFRPの加工実演だ。
- 「Qing NEOは、加工で発生する切粉を90%以上吸引。ワーク上や機械内部への飛散を防止するとともに、オペレーターの安全性、切り屑の噛み込みを防いでいく」工具で、ホルダ部から専用のアタッチメントを装着し、吸引して、切粉を機外に排出させる。
- 実演では、OKKのVM660Rで三菱のAJXというカッタを用いて、FCD420という被削材を加工。切粉が次々と吸引されていき、終了後にカバーが開けられ、状況を確認。切粉がほとんどなく、40人以上の参加者が見入った。
- CFRPの加工実演では、DMG森精機のNVX5080で、CFRP材をドリリング+エンドミル加工及び、CFRP材とアルミ材の組み合わせのドリリング加工を行った。
- 筆者が印象的に感じたのは、加工では一般的なクーラントを使用するのではなく、固体潤滑材が採用されていたことで、製品名は「SLE」と言う。被削材に刃先が触れる前にSLEが溶融して、工具摩耗と摩擦熱を低減、切削の面品質を高める効果があるそうだ。
- 一方、航空機関連セミナーでは、航空宇宙部でマーケティングを担当する伊藤正昭部長補佐が講演。今後、20年間で3300機の航空機生産が見込まれることやスネクマ、GE、ロールスロイスといった、ジェットエンジン各社の製造シェア、アメリカを筆頭とする(26兆円超え)国別の航空宇宙の市場規模、日本メーカーの製造分担の割合の変化などについて説明された。
- 「我々のセクションは一昨年創設され、スタッフ数では60人から成る。この分野では、大手航空機メーカーや大学などの研究機関と一緒になってチタン合金加工用のロータリーカッターを開発した経緯がある。標準品ではアルミ加工用のAXDシリーズ、チタン加工用のVFXシリーズ、難削材用のCoolStarなどをラインナップしている」と自社工具に即した、航空宇宙分野での提案が行われた。
- 2日間を通じ、参加者からは、デモ加工や講演会で積極的な意見、質問が飛び出し、現場従事者らしい中身の濃い発言が目立った。
CFRP加工で使用された潤滑材(SLE)
実演加工中、切り屑が吸引されていく状況を説明する
切り屑吸引式工具の実演に見入る参加者