集中クーラント設置へ建屋の建設に着手。イワタツールでは、6月末から再び受注が激増、新規設備もフル稼働状態に

株式会社イワタツール

株式会社イワタツール

敷地内で集中クーラント設置のための建屋の建設が始まっている

  •  イワタツール本社を訪問すると、敷地内で工事が始まっていた。
  •  岩田昌尚社長は「集中クーラント設置のための建屋の建設。オイルミストばかりか、空調機械関連にも対応していく」と、その理由を語る。生産量の増大に対応する濾過能力のアップは今や、不可欠だからだろう。
  •  工具の受注は、5月、6月と若干、落ち着いてきたと聞いていたが「6月の後半からは、再び、爆発的に増えてきた。激増と言ってもいい。タイ市場に関わる分が伸びているが、タイ現地法人ばかりか、日本の流通を通じた寄与度も高い。長納期化が避けられない見通しで、3月末までに導入した新規設備も、すでにフル稼働状態だ」と受注が再上昇を辿っている現状を指摘する。
  •  因みにイワタツール全生産量のうち、タイは20%以上の比重を占めるまでに成長しているそうだ。
  •  「年内までに新規に工具研削盤を2台導入予定で、それまでに既存設備の生産性向上、自社専用機の増産で対応していくことになる」。
  •  だが、岩田社長の目線は、量的対応ばかりに向けられている訳ではない。3Dの写真データを活用しつつ、売れ筋商品の面粗度、否、精度そのものの改良、改善にも注力している。
  •  「生産量が増えてくるに連れ、品質保証体制も同時に整えていくことになるが、当社ではゾラーを活用。自動機なので、測定の効率アップが図れる」品証での生産性も追求している。
  •  目前となりつつある、初出展が決定した米・IMTSについて岩田社長は「アメリカ市場に対し、じっくりと腰を据えていくための『準備的』出展として位置づけている。現時点で意識している市場はIT産業だが、これは、アメリカそのものが業界全体の発信源でもあるからだ」と照準を合わせる。
  •  本紙の発行日の翌日となる8月9日に岩田社長は50歳の誕生日を迎える。
  •  「もう、50歳と言うのが正直な感想。これまでソフトウエアの世界と機械加工の接点で仕事を展開してきた。今一度、工具を製作する前に、得意分野であるプログラミングの分野で自己研鑽を積みつつ、ペース配分を考慮しながら、行動していく段階を迎えたと思うようになった」と言う。雇用の面では、従来のようなやり方では人は集まらない。新しく開発に従事できる人を育てていくためにも、「雇用確保ほど、重要なものはないと認識していきたい」。
  •  岩田社長は、小学校の頃から、汎用機を扱い、バイトを研いでいた。
  •  「高校生になると、夏休みを利用して、汎用機をNC旋盤に作り変え、完全な球づくりに勤しんだりした」そうだ。
  •  今年は創業90周年。年末には「仕掛け」を用意するらしい。期待が膨らむのは筆者だけではないだろう。

 

岩田社長

岩田社長