サイトウ製作所が創立90周年記念祝賀会挙行。未来に向けた「コアバリュー」発表も

株式会社サイトウ製作所

株式会社サイトウ製作所

記念祝賀会の様子

サイトウ製作所は4月1日付で創立90周年を迎えた。「使う身になって造れ」という創業者精神を受け継ぎつつ「面倒を価値に変えるモノづくり」と言うコンセプトのもと、今では、微小径ドリルを中心に、7000アイテムを超えるラインナップ、世界25カ国を数える供給体制を確立するまでの成長を遂げている。6月11日には、場所を東京ステーションホテルに選定し、創立90周年記念祝賀会を開催。齋藤社長、齋藤専務が顔を揃えたのは当然としても、表舞台ではあまり接することのなかった角田工場を統括する齋藤副社長はじめ、開発や製造に関わるスタッフ、本社総務のメンバーなど、祝賀会が多様な層を織りなしていたのが印象的だった。多くの人の準備によって支えられていたとも言えようが、この「舞台」に、国内外で親しくしている企業、個人含めた100人を超える関係者がお祝いに駆け付け、改めて親交を深める場となった。

 「これまでのご愛顧に感謝するとともに、これからの弊社をご説明させて頂く場にしたい」-3代目の現社長、齋藤智義社長は記念祝賀会をそう、位置付けていたが、ご案内を頂いたとき、(参加の可否を知らせる)返信切手を使わずWEBで対応した場合、切手が被災地支援活動に寄付されるとのアイディアは、スタッフの考えから、とも聞いていた。正直、「よく考え付いたなぁ」と思ったものだ。
 祝賀会の冒頭で、齋藤社長、齋藤専務が並んで登壇した。想像したように、日本語、英語を交えての挨拶を念頭に置いた対応だったが「兄弟が力を合わせて、何かをするって、実は初めてでして」と齋藤社長はユーモアを交えて、口火を切った。
 「金切り鋸刃のメーカーとしてうぶ声を挙げ、1954年からバイトで始まった工具ビジネスを通じて、顔の見えるお附きをさせて頂いていることに感謝している」とストレートに謝意を述べながら「なかでも、本日は、3世代にわたってお付き合いをさせて頂いている方にもご参加を賜っている。創立90周年を機に今後とも長いお付き合いに繋がっていくことを期待している」と将来を見据えた。
 一呼吸おいての齋藤専務による「通訳」は概ね正確だったが、時に齋藤社長の「暴走」によって「阻まれる」ことも。その戸惑いの瞬間、会場からの笑いが、逆に両者の潤滑油の役目を果たし、2人の連携の良さを浮き立たせていたように感じた。
 坂本板橋区長、黑須角田市長という、本社と工場の立地するそれぞれの行政の長も顔を揃え、祝辞の挨拶に立った。
 坂本区長は「板橋区主催の展示会出展や花火大会など、区の行事への積極的な取り組み」に賛辞を呈し、黑須市長は「(サイトウ製作所の技術による)髪の毛に穴をあける、微細加工分野への貢献」に言及した。
 個人創業から法人化、その発展を辿るなかで、工場の建設、工具の開発と製品化への流れ等がスライドを交え、紹介され、続いて式典の要を成す「さらなる未来へ」に向けた7つの「コアバリュー」が発表された。
 スライド上映の最後には、製作に関わったメンバーが表示され、ここでもスタッフひとり、ひとりが資料や写真などを収集、編集に奔走したことを伺わせた。
 コアバリューは、ひとことで表せば「HARMONY」(調和)となる。
 詳細は「90周年特設サイト開設」を参照頂くとして、「調和」の意味するところは、すべてに「やさしさ」を届け、色んな考え方を「受け入れ」、ニーズを「捉え直し」、得意とする分野への「士気を高め」、ありがとうの「輪を広め」、どんな時でも「何かができる」と信じ、「ありたい」ATOMを構築していくーが核となる。
 参集した方々への御礼として「江戸切子」が準備された。
 齋藤副社長は「クラフトマンシップ、イノベーションを追求しつつ、日本、東京と言う、取り巻く環境との調和をも顧慮されている。私たちも、支えてくださっている方々の思いを大切にしながら、さらなる技術発展のために想像力を駆使し、より良いものを創造していくため、今後とも精進していきたい」と、自らの立ち位置を江戸切子になぞらえた。
 これまでに培ってきた技術、知識、ノウハウに、コアバリューを融合させ、今後の進化を宣誓した創立90周年記念祝賀会。今後とも注視していきたいと思う。


江戸切子