事業承継の核に迫る 齋藤社長訪問。サイトウ製作所。

株式会社サイトウ製作所

株式会社サイトウ製作所

齋藤社長

サイトウ製作所創業90周年(4月1日)から1年が経過し、100周年も射程に捉えるなか、どのような立ち位置で、ものづくりに向き合うのか。改めて齋藤社長を訪問し、取材を試みた。


 「立ち位置的に振り返れば、社長就任が、2009年。ただ、先代である父と専務だった叔父が完全に引退した2016年以降が、本来の意味で社長として社業を引き継いできた時間のように思う」。
 リーマンショック、東日本大震災、コロナ禍、トランプ関税・・・社長就任以来、こういった「外圧」への対応を巡って苦慮してきたこと、そのものが、社業発展の原動力に繋がってきた側面がある、齋藤社長は指摘する。
 90年を越える歴史を刻むなかで、微小径ドリルの代名詞として確立された「ATOM」ブランドを支える製品群には特徴がある。
 「ほかに代替品がないという意識で、買って頂ける要素とは?との発想で、性能プラス品揃えに注力する事に加え、そうした製品を生産する工場では、生産本数だけに拘る事は辞めにした」。
 代替品がないアイテム=競合がない、と置き換えられるが、品揃えでは、必ずしも売れるアイテムだけを供給すればよい訳では無い、とも言う。
 「その代表とも言えるのがストレートドリル。大手を含め、他社が撤退していく中で、我々は最後の供給者になる、との決意を固めている。多品種(小)変量の典型で、自動化も容易ではないが、無くなると困る製品でもあり、当社としても止める理由はない」。
 サイトウ製作所の「面倒を価値に変える」例でもあろうが「この理念については、技術力と同等レベルの指標にしている」そうだ
 「現状のような、思わしくない景況下では、生産数量や金額だけで工場を評価するのではなく、たとえば、段取り替えの頻度や質も評価の対象にしたい。真の生産力に必要な、筋肉質をキープする上で重要と思うからだ」。
 ATOMブランドについて、今後も、その動向を注視したい。