来年も横ばい予想。新製品投入も同水準の40点前後想定-木下タンガロイ社長
木下聡タンガロイ社長
タンガロイの木下聡社長にブースで面談、今年の概略、特に反応著しかったアイテムを中心に特徴を聞いてみた。
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「国内は前年並みだが、海外は伸長、特にインド市場での伸び率は断トツ」‐と言うのが木下聡社長による2016年の「枠組み」だ。
タンガロイは海外に27に及ぶ現地法人を擁する。技術サポートが特に必要な場合を除いて、基本的にローカルスタッフで運営されており、その「密着度」が功を奏したものと考えられようか。
「国内は、2016年の成績も悪くなかった。市場と連動した動きならば、減少を辿った。が、新製品の売れ行きがプラスアルファをもたらした」と言う。
なかでも、筆頭と言えるのが「DO FORCETRI」。
「汎用性が断トツに高く、欠品が出るほどの売れ行きを示した。直角肩削りのカッタで、当社の目指す生産性向上が客先に浸透、その結果を享受できたものと考える」。
では、2番目に反応の良かったアイテムは何か?と畳みかけると「TETRA FORCE CUT」が挙がる。
「性能重視の溝入れ・突切り工具。4コーナ仕様のインサートで経済的にも訴求できた面がある」と言う。
売れ行きにおいて、その伸び率で、名指しすれば「DRILL MEISTER」が群を抜く。
「2桁の伸び率。ソリッドからインサートやヘッド交換への移行を進めているが、そのプロセスで成功を収めたアイテムに位置付けられる。需要への対応では、工作機械メーカーとのコラボレーションの進展も無視できないだろう。着実に進化したと捉えている」。
工具業界を含め、生産財マーケット全体で、2016年は「踊り場」を迎えたと言っていい。が、タンガロイにおいては「倍速切削」の名のもとに、新製品を矢継ぎ早に投入、その効果を実感できた年ではなかったか。
「来年、2017年も、現在の水準で推移するものと考えている。新製品のリリースも、同じレベルの40点前後を予定している。JIMTOFブースへの来場も想定以上で、熱心な質問も多かった」。
タンガロイの「穴あけ」技術
─ 喜多竜也・切削工具開発部主務に聞く ─
タンガロイブースで切削工具開発部の喜多竜也氏に取材、「穴あけ」の側面からの技術最前線を取材した。
切削工具の基本は「穴あけ」と言われる。 「折れる」回避で、刃先交換式への移行推進 適用は径6ミリ以上 「キーワードで捉えれば、刃先交換式、2枚刃仕様、深穴加工で括れる。なかでも当社は、オール超硬の世界、すなわちソリッド工具から刃先交換式へ開発の重点を移している。その理由は『折れる』の回避にある」。
穴あけにつきものの「折れる」リスクを刃先交換式で解消していくと言うものだ。
「当然、棲み分けになるが、工具径6ミリ以上で鋼シャンクを採用する刃先交換式を目指している。これ以下は、ソリッドで対応していくことになる。交換式により、使い勝手の自由度も高まるが、特に深穴加工においては効果的で、加工能率は従来比4倍にもなるというメリットを追求している」。
深穴加工でネックとなるのが切りくずの排出性だろう。この分野は、穴径で5ミリから15ミリが汎用ゾーンとなるが、刃先交換式に置き換えていくことで、先端の自由度が高まり、排出性能を巡るトライアルでアドバンテージを見出せる。
「来場者には、従来の穴あけに対し、加工能率のアップを説明させて頂いたが、説得力がある、と言って感謝される。特に深穴では加工能率4倍へ、と言う説明に耳を傾けてくれた人が多数を占めた」。
刃先交換式をさらに拡大へ
タンガロイでは、今後刃先交換式ドリルの比率をさらに大きくする計画であるという。
ブースで披露されたドリルのラインナップ例
加工効率4倍を謳う深穴加工用ドリル
穴あけ工具の開発エキスパート、喜多主務