豊明工場竣工し、見学会を実施した中京。JIMTOFでは単結晶ダイヤ、小径ボーリングバイト、カルカッターシリーズなど多様な工具を提案
見学会を前に挨拶する川瀬社長
昨年迎えた創立60周年を機に、中京が100年創業企業を目指し策定した「NEXT40」。その中に盛り込まれた豊明新工場がこのほど竣工し、10月7日には取引先各社を招待して待望の見学会が執り行われた。
川瀬敏裕社長は「豊明工場は創業10年後の昭和46年に稼働スタート。当初は本社同様、木工用、電動用の工具を生産していたが、ハイスから超硬へと置き換わっていくなか、当社ではPCD工具、PCBN工具の生産をメインに手がけるようになり、最近ではMCD工具の生産にも着手している。油を使用する放電加工機、研磨機の台数が大幅に増える結果となり、数年前に消防署からの指摘、指導を受けるなか、工場の建て替えに繋がる機会を得ることになった」との経緯に触れながら「床を1メートル嵩上げして、災害に強い工場を目指すとともに、IoTモニターを活用し、生産の見える化を図るなど、安心して仕事を任せて頂けるような体制づくりに配慮した。今後とも、ご指導ご鞭撻を賜りながら、精進していきたい」と将来を見据えた。
お祝いに駆け付けた富士精工の鈴木社長は「当社と中京さんは、創業の地が同じ名古屋市中川区。一貫して、御縁を感じている。このたび、50年ぶりの工場刷新とお聞きしているが、災害に強い工場づくりを目指した安全面から環境面に至るまで、細やかな配慮を感じる次第だ。当社としましても100年企業を目指す中京さんとの共存共栄を願っている」とのメッセージを送った。
数組に分けて行われた工場見学会では、今後、屋根に配置される太陽光パネルの活用によって使用電力の30%削減を目指すと言う説明ほか、地震対応の機械のアンカーボルト留めの状況、工程別注残、各種工具のリアルタイム生産実績などのモニター、新製品開発室、さらに工具の性能検査のために導入されたマシニングセンタなどの説明が行われた。
特に開発室では、ナノの世界を追求する単結晶ダイヤモンド工具の開発を推進。自動車産業の変革を見据えて、将来の「柱」に成長させていく考えだ。
見学会の締めくくりで川瀬社長は時代に即したものづくりを訴え「自動運転、EV化の流れの中で、PCD工具、PCBN工具、MCD工具には勝機があると考える次第であり、自動車関連以外の、たとえば、半導体や医療関連といった、当社にとって新規分野でも、実績を築き上げていけるものと確信している」と語るとともに「脱炭素社会への挑戦として太陽光発電の活用や、設備メーカー様に対する省電力化、素材メーカー様への再生可能な素材などの開発をお願いしている。また、100年創業企業を目指していくうえで、次代を担う人材とその養成は、まさに不可欠であり、製造部、営業部はじめ、中国、タイの海外関連企業との相互に連携を深めていくためにも、技術承継含めた人材育成には、今後とも、日々、研鑽に努めていきたい」と将来を展望した。
数組に分かれて工場見学。写真のマシニングセンタは切削性能をテストするために導入された