岡本工作機械製作所がPSG会支部連絡会開催。3月末までに売り上げ500億円達成へ
超精密分野ではアフターフォロー強化へ
石井社長
岡本工作機械製作所は、西部支部を皮切りに、中部、東部の3拠点で相次いで2023年度PSG会支部連絡会を開催。江連国内営業部長による国内動向の概況をはじめ、若手営業マンによる岡本工作機械の歴史を踏まえた製品紹介や脆性材加工需要、さらにEV産業における研削盤へのニーズ等について詳細な説明が行われた。恒例となった伊藤常務による特別講演は、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラルの実現に伴うクリーン成長戦略」に寄せた展望となった。
◆
今年の工作機械受注予想で日本工作機械工業会は、1兆5千億円を掲げた。
江連部長は「その中で研削盤の占める割合は約7%、1000億円+アルファを予想している」と研削盤全体を俯瞰しながら「当社は、今期で売り上げ500億円達成を目指している。残る一カ月半で、結果が問われてくる」と、計画より1年早い売上高500億円到達へとラストスパートをかける。
地域別に研削盤の動向を見ると「東部はロータリー、中部は門形、そして西部は全体的にバランスが採れている」ようで「国内は総じて円筒とロータリーが増加しているものの、その他は減少している」傾向にある。
顧客満足度の点で強調されたのは、サービスの向上だ。
「超精密分野への更なる浸透を掲げているが、アフターサービスの強化を抜きにはできない。サービス部品の即応率を上げ、ダウンタイムを圧縮していく考えだ」。
2024年度の受注は、今期並みを予想し、半導体分野への積極的なアプローチ、平面研削盤のシェアアップなどを掲げる。
講演を順次、なぞっていこう。
社史と言う点では、1926年の創業以来、研削盤を軸に事業を展開。その後、1996年には、半導体事業本部を立ち上げた。
タッチパネル採用で人気の高い汎用研削盤「PSG-SA1」、3軸NC制御で剛性重視の「PSG-CA-iQ」に言及しつつ、2030年には研削盤・半導体ウェハ研磨装置でグローバルナンバー1を目指す。2030年には連結売上高で700億円が掲げられた。
「2030年の目標でカギとなるのがEVと半導体。EV市場が拡大すれば、半導体需要も高まり、高精度ワークに対応した超精密研削盤へのニーズが拡大する」。
半導体が増加すれば、半導体製造装置の需要が増えてくる。
「装置の製造には多様な脆性材が欠かせない。シリコンをはじめ、Sic、セラミックス、石英ガラス・・・加工に適した弊社製品ではPRG8-iQ、VRG6DX、UGM64GCなどがお勧めだ」。
EV産業ではミクロン単位の加工が必要となる製品が多い。
「モータコア、センサー類に必要なレンズ金型、塗工装置部品が代表例。門形のUPG-CHLiはじめ、UPZ-Liシリーズ、IGMシリーズが対応機種となる」。
特別講演で伊藤常務は、二酸化炭素をゼロにするクリーン成長戦略について概説。
「戦略上14分野の産業が提示される。洋上発電、太陽電池・太陽光発電、電動車・蓄電池産業、宇宙太陽光発電・・・カーボンニュートラルに向けた砥粒加工も広がりを見せてきており、新たな市場創出も期待できる」。
閉会の挨拶に立った石井社長は「2025年3月期の目標として、連結売上高500億円、営業利益60億円を掲げたが、1年前倒しで達成も可能になってきた。2030年までの長期ビジョンでは連結売上高700億円。岡本工機を通じた歯車事業への投資も活発に行い、3割アップの生産能力を確保した」。
PSG会支部連絡会の様子