中部ニュービジネス協議会会員交流イベント「気球こそが宇宙旅行を身近にする」。

株式会社岩谷技研

株式会社岩谷技研

気球へのロマンを語る岩谷社長

気球を使って、宇宙への旅に出る-わずか上方に25キロ上がっていくだけで「地球が丸く見える世界」に出会えると言う。
 2016年に設立されたベンチャー企業、岩谷技研の岩谷社長は、「宇宙旅行は気球でこそ現実にできる」と熱く訴える。
 「気球は排ガスも出ない。環境、身体にも優しいし、広い視野で全身による体験ができる。上昇に2時間、遊覧に2時間、合わせて4時間。最終的には海に戻る。そして乗船する。トータル8時間の旅となる。事前にシミュレーションも可能で、誤差は数キロ」だそうだ。
 2018年にプロジェクトがスタートし、魚を気球で飛ばした加速度変化の確認、無人で人用キャビンを飛ばして、その安全性の確認、そして今年6月にはハムスター載せての実験と、着実に実績を積み上げてきた。
 「人類史上。これまで500人の宇宙飛行士を生み出してきているが、気球を使えば、年間で500人を宇宙に送り出すことが可能となる。当社の気球生産工場では気球サイズ41m級で月産10基まで対応可能だ」。
 これまでの取得特許件数は9件、出願中は11件に上る。
 市場規模の想定では「地球を眺めてみたい」と言う欲求は、潜在需要含め高いと判断、想定する180万円~200万円という予算なら「数千人はいると言う話もある」そうだ。
 宇宙旅行の民主化と言う表現も聞かれた。有人計画は10人以下でスタートし、数十人、そして最初の3年間で100人規模を想定する。宇宙服についても手掛けていくとのことだ。
 また、岩谷社長によれば「宇宙旅行のみならず、気球を使って派生する事業も視野に入れており、様々に役立つ気球開発に取り組んでいきたい」との展望も。
 参考までに、NASAの高高度気球に対する認識として、太陽観測とソーラー機器、地球観測機器、高高度における様々な観測といった試験に最適-と見ている。
 参加者からの質問に応えて岩谷社長は「気球のガスが抜けても落ちない設計」(パラシュートの展開)「使用するヘリウムガスは、将来的には回収を想定」といった回答を寄せた。
 岩谷社長は1986年に福島・郡山市に生まれ、北海道大学で航空宇宙工学を専攻した。2011年には、気球の研究開発をスタートさせ、2016年に「株式会社岩谷技研」を設立、そして2020年には第三者割当増資を実施、大型気球開発へと舵を切っていった。

気球からの実写写真
気球からの実写写真

有人昇降試験
有人昇降試験