東陽ワンマンショーに寄せて。羽賀社長に聞く前期の総括と2024年の提案
2025年には創業70周年に

株式会社東陽

株式会社東陽

羽賀社長

東陽ワンマンショー開催中に羽賀社長を訪問し、その狙いと手応えを皮切りに、顧客の動向と対応ほか、海外拠点の現状、4月以降の方針等について、ヒアリングを行った。

 春と言えば「桜」、自動車と言えば「トヨタ」、ワンマンショーと言えば「東陽」・・・呼称と言うのは、親しみやすさと切っても切れない関係にある。
 羽賀社長は「ワンマンショーと言う呼び名の浸透度合いを改めて実感するなか、いい意味で原点回帰を図ろうと、16年ぶりにその名称を復活させることにした」と言う。
 サブタイトルには「ゼロカーボンでサステナブルな未来へ」を掲げた。
 「カーボンニュートラルに対する距離感がぐっと縮まってきて、当社の顧客の取り組みも一段とギアが上がってきたと感じる。トヨタ自動車が2050年をめどに実践している、生産過程におけるCO2排出ゼロ、その影響の広がりを意識しない訳にはいかない」。
 省エネ、自動化、ロボット化、環境負荷低減・・・ワンマンショーで出展メーカーは、それぞれの切り口で、意識的に、自社商品をCO2削減の文脈で捉え、積極的にアピール。羽賀社長も「些細に見えるようなものでも、たとえば、効率の良いフィルターや錆から守る防錆剤といった商材にも、効率や環境への配慮を感じ取ることができたかと思う」と指摘する。
 顧客の動向では、今や既存車プラスαの視点が必要不可欠となる。その際、BEVやハイブリッド車向けの電気駆動ユニット「イーアクスル」、車体を一体成形する「ギガキャスト」、構造や形状にとらわれない「全個体電池」などがキーワードになろうか。
 「ただ、いずれの要素を捉えても開発途上であり、状況が見えづらい。当然、設備投資の方向性も定まらず、特にティア1クラスの本格的な投資はもう少し先になると考えている」としながらも「(層の厚い)ティア2以下のクラスでは自動化への要求が高く、関連する加工では、新たな工具需要が発生してきている」との動きもあるようだ。
 2024年の幕が上がって、東陽では、回復への期待が膨らみつつある。
 「全体的にはビジネスが戻ってきている。需要の方向性が定まらない現状を逆手にとって、全方位で臨み、何が望まれていくか分析し、実践していきたい。本年も海外は堅調に伸びていくと予想し、国内との連携を強化して、回復本格化に向けた絵を描いていきたい」との抱負を語る。
 北米は16拠点から、さらに1か所増設し、攻めの販売体制を強化しつつ、買収したシステムインテグレートの関連会社「PTSA」で攻勢をかける一方、実質的な需要を担うメキシコで、非日系企業へのアプローチを含め、底堅いニーズを掘り起こしていく考えだ。
 「2拠点を擁するチェコでは、ドイツはじめ、ハンガリー、ルーマニアをカバーしているが、単に順調なばかりか、日系企業への提案次第では拡大の可能性も十分にある」。
 東南アジアではインドネシアに注力していく。
 「2024年を拡大基調に乗せることができれば、創業70周年を迎える2025年に花を添えることができる。売上と言う点では、連結で過去最高を記録した1500億円を目指していきたい」。
 6月のロボットテクノロジー展、11月のJIMTOFで、出展コマを大幅に増やす。当面の「仕掛け」にも注視していきたい。
 *東陽ワンマンショーには2日間で3470人が来場。羽賀社長は「多くのお客様にご来場いただき、製品を見ながらお話が出来たことで、様々な要望を伺うことが出来た。出展メーカー様と一丸となってお客様のご要望に応えてまいりたい」と振り返った。


16年ぶりに「ワンマンショー」復活