栄工舎の新体制始動。当面は前任者が立案、計画していた内容の具体化(越智代表取締役)
越智代表取締役(左)と山口代表取締役副社長
安部川社長死去に伴う栄工舎の新体制が固まり、始動した。
後任には越智取締役営業本部長が昇格して代表取締役に就任する一方、代表取締役副社長という新たなポストが設けられ、山口取締役(経理担当)が昇格し、就任した。山口副社長は、安部川前社長の次女に当たる。
越智社長は「この1年間は、前任者が立案、計画していた内容を引き継いで具体化していくことになる。売り上げでは、5%以上のアップを目指すことになるが、他社との差別化に留意した製品戦略等も、当面は踏襲していく考えだ」と語る。
今期に入った5月以降の「滑り出し」については「良好」なようで「特殊ものは、ハイス、超硬問わず、引き続き堅調」なうえ、主力の超硬リーマも好調を継続。5月にアナウンスされた7月1日受注分からの「価格改定」も、売り上げ数字として表れ始めたようだ。
「価格改定の背景には、工具の素材ばかりか、物流コスト、電気代など、多岐にわたる高騰がある。ハイス製品で15%~35%、超硬製品では0%~25%と、それぞれ値上げさせて頂き、特殊品は別途打ち合わせと言う、お願いをさせて頂いている。特にハイス製品の値上げについては、他社が撤退していく中で継続して取り組んでいくためにも不可避と判断した」。
アピールと言う点では、今年は4年ぶりとなるリアルなJIMTOF開催が控えている。
「新製品リリースに向けて、テスト開発中の案件がいくつかあるが、その中で、屋台骨のリーマ、カッタそれぞれの開発品のトライアルが先行している。いずれも、営業に打診された、客先からのニーズの具体化だが、この基本的な製品づくりの発想に今後も変わりはない」。
だが、リーマによる市場開拓は、日本だけでは限界があり、海外での浸透は避けて通れない。現状での海外比率は1割弱と「伸び代」への期待は大きく、その一環とも言える対応として、9月の独・AMBの出展を決めている。
「YKTヨーロッパブースでの出展となる。高硬度用、ステンレス用、樹脂用の各リーマのほか、用途別カッタを中心に提案していく場となる。AMBへの参加は今回で4度目。参加そのものが、工具の知見を広げることに繋がるメリットも見逃せない」と越智社長はコメントする。
山口副社長は、栄工舎で20年以上にわたって総務関係の仕事に従事してきたベテラン。とは言え、対外的な役職ではなかったため、知らない人は多いかと思う。
「平成10年10月の入社。社歴的には20年以上にわたって、経理面を含む総務関係全般を担当してきた。これからは、越智のサポートも意識して、社外的な活動にも可能な限り、参加していけるようにしていきたいと考えている」。