今期は受注ベースで前期比6・6%アップ目指す栄工舎。
コロナ禍あけの一年で、工場見学者激増
越智社長
前期決算(4月)がまとまったタイミングを勘案しながら栄工舎を訪問。この間の業績推移を織り込んでもらいつつ、越智社長に今期の課題や目標のほか、アピール製品、直近の動向など、縦横無尽にヒアリングを試みることにした。
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栄工舎は2025年に創業75周年という節目を迎える。
越智社長は「戦後5年を経過した1950年の起業であり、第3四半世紀におよぶ、長年にわたるご支援に感謝しない訳にはいかない」との謝意を述べながら、直近の業績について「前期は何とか赤字は回避したものの、需要が低迷するなか、数字の上では厳しい決算を余儀なくされた。今期は、各分野、各エリアの動向を弊社なりに総チェックした結果、受注ベースで6・6%アップを目指しいく考え」との計画を提示する。
秋口からの自動車生産に伴う部品加工の「復活」、エンジンに加え、機体の需要増に期待高まる航空機分野などの動向を視野に入れる。
目線を海外に移すと「中国市場の不透明感は、払拭しづらいと思うが、今後の発展が期待できるインドでは、ローカル代理店の拡充、発掘に成功した」そうで「ベトナム、インドネシアといったアセアンからの注文も増加してきている」と言う。
製品では、昨年5月のコロナ禍明けから、およそ1年、有力商社によるプライベートショーやパブリックの展示会を軸に、新製品のリアルな訴求に努めてきた。
「アルミ用、樹脂用、高硬度用といった用途別カッターをはじめ、需要が拡大している超硬樹脂加工用リーマ、昨年のメカトロテックで提案した、一般鋼の高能率加工を後押しする、高速仕様を特長とする『フラッシュリーマ』などをアピールしてきた」。
特注対応だけではなく、標準品として、即納体制を整えている点もアピールされている。
補足として越智社長は「地域に根差した地場の商社に、弊社を選択して頂くことにも、力を注いできた。プライベートショーで、いかに一翼を担えるか、ご理解いただくことにも力を割いてきた」。
商社にとっては、来場者の確保ばかりか、満足して帰っていただくことが何よりも重要視されるからだ。
また、コロナ禍明けという点で、注目されるのが、工場見学を積極的に推し進めていることだろう。
「代理店の方をはじめ、販売店、エンドユーザーと、多様な層の方に足を運んでいただいている。弊社は2024年時点でも数量ベースでは超硬よりもハイスの方が勝っており、旋削、フライス、熱処理・・・と工程が多く、初めて目にする訪問者も珍しくない。見学後は感想を寄せて頂いているが、過去を振り返ると、(感想によって)安全靴の支給に繋がった例もある」と言う。
今期はJIMTOFの年でもある。市場浸透を図る有力アイテムにも期待したい。