石川工具研磨製作所の新工場の躯体工事完了、稼働は予定通り来年1月下旬
躯体工事を終え、威容を現した新工場の全景。来年1月末には稼働開始する
- 石川工具研磨製作所を訪問し、石川直明社長に2021年がスタートした、この1年間に及ぶ、コロナ禍での特徴だった業績の推移と活動状況について取材した。
- ◆
- 新規受注も重なって、11月だけで見ると製造工具の比率が4割まで上がってきたと言う。
- 「コロナ禍前の2019年比で見ると、従来から実績のある再研磨関連の落ち込みが大きく、現時点でも全面回復には、もう少し時間がかかる、と指摘できるだろうか。全体の流れでは、11月からは好調に推移し、今後、軌道に乗っていくことを期待したい」。
- 働き方改革が本格的にスタートするなか「残業時間の制約を意識して、稼働率アップを追求するなど、仕事の進め方では創意工夫を重ねてきた」点も重要だ。設備では、品質保証を強化するため測定機の増強を図った。
- 中長期的視野に立って進めてきた新工場については予定通り1月下旬に稼働をスタートする。
- 「躯体工事を終え、現在、内装、電気などの仕上げ工事のほか、外構工事にも着手。1月中旬には、既存の工場から予定している機械の移設を終える予定。建物の引き渡しは年明け早々になる見込みだ」と言う。
- 新工場と既存工場との役割分担については「新工場については、主にNC機を駆使していく現場とし、既存工場は、汎用機、円筒と一部NC機を配置していく計画。ポイントとなるのは、機械設備を取り巻く環境の改善、向上にある。機械のレイアウトほか、ポンプなど音の出るものは加工室外に配置して、温度変化や騒音に配慮するとともに、陽の影響を受ける東・西・南側には加工室を配置しない工場レイアウトを採っている」そうだ。
- もちろん、新工場では、食堂や休憩室といった福利・厚生施設の充実に努めている。
- 「社内教育では、スタッフによって、できることと、できないことの『見える化』を図り、管理できるようにして、人の能力のバラツキの解消に努めてきた。『次』に備えた成長に繋がっている」との成果も。
- 新工場の稼働に合わせ、米国製トランザーフィルターの濾過器導入にも注目したい。
- 「8年前から始まったトランザーフィルター導入成果の上に立って、工具研削盤20台以上の濾過を担っていく大容量機『V-12-V21 Expandable』を手当てした。超硬粉を1ミクロン単位で除去し、常に研削液をクリーンな状態にしてくれることで機械本来の機能が十全に発揮される。今後の需要拡大に伴い、大きな戦力として活用していきたい」。
- 2021年の幕も、もうすぐ下りる。2022年の市況環境が、新工場の稼働メリットを引き出せるような年となるよう、期待していきたい。