石川社長就任10周年記念インタビュー(石川工具研磨製作所)。「今まで以上にアンテナを張り巡らせる」

株式会社 石川工具研磨製作所

株式会社 石川工具研磨製作所

石川社長

 10年前の2015年に社長に就任し、今年で10周年を迎えた石川工具研磨製作所の石川直明社長を訪問。簡略ながら「過去、現在、未来」にわたるインタビューを試みた。

「前半の5年間は成長が継続し、後半の5年間は、景況の厳しさが継続する、まさに明暗がはっきりと分かれた10年となっている。現状では受注と生産性をいかにバランス良く上げていくか、今まで以上にアンテナを張り巡らしながら、対処していく必要性を感じている」。
10年を振り返った時の一大イベントと言えば、新工場の建設だろう。
「狙い通りの空調、オイルの管理、機械レイアウトなど、ゼロスタートの中で、いかに稼げる工場を整えていくか。売上、利益、そして何よりも、働く人にとって、働きやすい職場環境づくりを念頭に置いた」。
石川工具研磨製作所で特徴的な設備と言えば、円筒の分野になる。
「溝を切る、刃を付ける以外の現場での技術的な蓄積を意識しつつ、効率良く加工していくために円筒研磨の設備充実に努めてきた。今では、円筒で蓄積したノウハウを活用して、丸ランド工具製作のウェートも上がってきている」。

2013年から2019年は、ベトナム人技能実習生を積極的に登用した期間でもある。
「今後、海外のマーケットを視野に入れていくことも、重要性が増してきている。その中で6期生までベトナム人技能実習生を採用し、現場で働いてもらう経験値を得たことは、当社にとって有益だったと思う」。
事実、海外出荷の点では、ベトナムなど東南アジアが中心になっている。
「現在、主力の再研磨では、エンドミルとドリルが半々の割合。コロナ禍以降、生産現場の改善や教育が進みキャパシティに空きがある。刃先交換式のエンドミルやドリル系の再研磨も積極的に取り込んでいければと思う。展示会の活用も、そのひとつで、グラインディング・テクノロジー・ジャパン(GTJ)は『レギュラー』参加となる一方、地場のプライベートショーにも積極的に参加するようになってきた」。

石川工具研磨製作所の創業は1983年、今期で42期を迎えている。
「企業が公器である以上、存続が大前提。近視眼的にならず、5年、10年といったスパンで、事業承継を常に意識していきたい」。