CO2削減に配慮した新製品金属加工用「CT-GS20Y」に加え、非鉄材料加工用「KLC20+」をこのほどリリースしたセラティジット。 ジャパンの現状は第1四半期終了時点で計画上回るペース。

株式会社 CERATIZIT Japan

株式会社 CERATIZIT Japan

5月のハノーバー展で披露された非鉄材料向け「KLC20+」のイメージ-広告

3月から新たな期に入り、第1クォーターが経過するなか、セラティジットジャパンの動向と新たな提案等について取材するため、馬場社長を訪問した。

 「今期の計画を立てた昨秋の時点で『来年は悪くなる』と本社サイドでは分析が進んでいたが、日本市場は、足を引っ張る要因は見いだせないと考え、予算は横ばいの予想を立てた。3月に丸棒素材、耐摩関連、木工分野の各商材の値上げを実施させて頂いたこともあるが、これまで予算以上のペースで推移している。どの分野も平均して悪くない」。
 セラティジットの話題性と言う点で無視できないのがCO2の削減に寄与する商品とその取り組み方、考え方だろう。
 「弊社グループにおける、製品の開発から出荷までに排出されるCO2の総量は、17万5千トン(2020年産出時)。資源と環境に対して責任ある対応をとることは、弊社グループの企業文化の一部であり、そのための商品開発の手は緩めない」との基本的な考え方がある。
 CO2の排出量の抑制策としては、太陽光や風力、地熱といった再生可能エネルギーの活用や、スクラップなどの回収、リサイクルによる原料の持続可能な調達などが挙げられるだろう。
 「昨年のJIMTOFで金属加工用のドリル、エンドミル用のCT-GS20Yという、新素材を業界に先駆けて提案させて頂いたが、これは99%以上が高品質な2次原料で作られている。そして、5月のハノーバーの展示会で弊社グループは、木材や樹脂など、非鉄材料専用のKLC20+を発表した。100%の高品質2次原料を活用しているばかりか、すべての工程で再生可能エネルギーを使用、従来の材質に比べ、CO2排出量を2分の1以下に抑えている」。
 これでCO2の排出量を抑えて製造された、金属用、非鉄用の新素材が揃い踏みしたことになる。因みに、高品質2次原料は、セラティジットグループ独自のリサイクル手法・工程を経て、原材料を抽出して製造。バージンパウダーを使う従来製品との品質差は全くないとのことだ。
 「弊社グループは、世界中のスクラップをリサイクルしてAPT(超硬合金の原材料)を生産しているGTP社(米国)を傘下に抱え、競合他社には真似のできない循環性とCO2削減の両方で大きな優位性があると考える。CT-GS20Y、KLC20+は、目下、全世界の顧客50社以上で、採用に向けて性能検証に入っている」。
 CO2削減の取り組みは、産業的にはEV化の流れに象徴されるだろうが、米国、中国の両国で、その先進性は抜きん出ている。
 「我々、超硬合金素材メーカーにとって、何ができるか。次代の自動車産業にどのような貢献ができるか。CO2削減の取り組みの中で追求していきたいと思う」。