「1月のセミナー開催」「機上3次元測定・追い込み加工システム紹介」に注力する碌々産業
海藤社長(写真左)と岩田海外営業部次長(写真右)
- 碌々産業の海藤社長を静岡工場に訪ね、微細加工機を取り巻く現況についての取材ほか、日々、進化を遂げる「工房=Stu.」と命名された工場を案内頂いた。インタビュー開始前には、海藤社長から、本紙初登場となる岩田海外営業部次長も紹介してもらった。
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- 応接室に案内され、まずは海藤社長に上半期の概況に言及してもらう。
- 「顧客のセキュリティーを考慮すると、代理店とのWebミーティングの重要性が増し、活用の可能性は今後も高まっていくだろう。だが同時に、情報把握の難しさから新規顧客開拓のハードルの高さにも直面してくるかと思う」。
- 4月~9月の上半期は、国内需要は「低空飛行」、海外の動向は「特需の発生」と、それぞれの特徴をなぞることができると言う。立ち合いも海外では「リモート」、国内では「リアル」。
- オンラインJIMTОFに参加するが、特に意識したのは「来年の1月19日~21日の3日間、静岡工場でのAFTER JIMTОFセミナー開催のアピール」と「微細加工に向けた機上3次元測定・追い込み加工システムの浸透」だ。セミナーが予定通り開催されれば、久しぶりの「リアル展示会」となる。
- 2年ぶりの訪問となった静岡工場は、外観から雰囲気が違った。白い外壁に書かれているのは「Stu.」と言う文字。
- 「工場ではなく工房という意味を重ね合わせた。たとえば、G Stu.G=グラインドなので研削工房だ」。
- 昨年4月から岡本工作機械製平面研削盤UDG4015NCが、この「G Stu.」では稼働している。
- 「従来の平面研削盤では、組み上げていく際に修正が発生したが、この岡本製では狙った精度が一発で出せるため、修正を不要とし、納期短縮にも直結する」。
- 半導体需要が復活し、検査装置やリフレクタの関連が手堅い。スマートフォンのカメラモジュールの画素数アップも高精度金型の需要を押し上げる。
- 「ただ、全体として受注の減少を余儀なくされている。海外渡航が『解禁』となれば、時計産業へのコミット強化に乗り出していきたい。ムーブメントやケース、針などの加工では、微細加工の優位性が問われてくるからだ」。
- 工房内で働く人の平均年齢が36・5歳。組み立て現場は、若い人の方が目に付く。
- 「人材確保の面では売り手市場から、買い手市場への転換を迎えている。いかに若い人を職場に迎えられるか。機械を操作する人はリスペクトされる存在でなければ、との思いを込めた、エキスパート・マシニングアーティストも3年目を迎え、国内外含めて、現在70人を数えるまでになっている。ものづくりの現場に若い人を呼びこんでくる『導火線』になれば、これほどありがたいことはない」と海藤社長は顔をほころばす。
- これからの人材確保では「DX(デジタルトランスフォーメーション)が大切になってくるだろう。特にIoTに関する基礎知識を持った人によるイノベーションに期待したいと思っている」。
機械を組み上げていく様子