碌々産業のプレミアムセミナーでは更なる鏡面「面粗さRa3ナノ」の紹介も
挨拶する海藤社長
- 「JIMTOFで展示するワークサンプルの加工方法の種明かしはプレミアムセミナーで」。昨年JIMTOF開催前に取材した際にこう語った海藤満社長。そのプレミアムセミナーが1月26・27日、碌々産業静岡工場にて開催された。
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- はじめに、海藤社長からセミナー前日まで滞在していた韓国の経済動向が報告された。
- 「経済状況は冷え込んでいるが、半導体関連はIOTとの関係で非常に忙しい。また、韓国のスマートフォン市場では、昨年8月に起こったギャラクシー発火問題以降、各メーカーが新製品発表を前倒しするという現象が起こり、非常に忙しくしている」ようで、同社も加工機の納入に追われているようだ。
- さて、セミナー第1部では、切削による鏡面加工の実現に至るプロセスを紹介。冒頭の「種明かし」が披露された。
- 同社は、鏡面加工ニーズに応えるため2011年から研究を開始。研究を進める中で、「鏡面性は工具の面粗さが転写される」ことが判明する。そこで、刃先に特殊処理を施した鏡面加工に特化した工具「Luminous(ルミナス)」を開発。これにより、STAVAX(焼入れ鋼)の鏡面加工を実現した(面粗さRa18ナノ)。
- その後、「Luminous」には改良が加えられ「Luminous‐E」に進化。また、機械では特殊静圧スピンドルを搭載した「AndroidⅡ type‐s」を開発。これらを用いて面粗さRa3ナノを実現し、鏡面性がさらに向上した。JIMTOFで展示されたのは、このワークサンプルだった。
- 第2部では、IOTを活用したシステム「RCMS」を紹介。
- 具体的には、①機械の状態モニタリング、②予防保全と早期トラブル解決、③ビッグデータの活用を通して、微細加工に最適な環境を提供する。
- ビッグデータの活用に注目すると、RCMSを通して加工機から得た大量データは、「コンサルティングや機械学習」などに使われるという。
- 例えば、加工上の問題に対し、ビッグデータをもとに微細加工を安定的に行うための切削条件、設置環境、機械状態などをアドバイスする。
- また、正常・異常の各状態のデータを機械に学習させることで、これまで人が判断してきた異常を自動的に機械が検知できるようになるそうだ。現在、「切削音をデータ化し工具の折損予知を行う研究が進められている」という。
- こうした取り組みは、前回の取材でも言及された「匠の技という暗黙知を形式知としてデータ化し、新たな付加価値へ」の具体像といえようか。 最後に、Android生産工場「キューブ23」、機械組立工場「エリア23」の見学会が催され、プレミアムセミナーは閉会した。