牧野フライス精機、アライドマテリアル、ZOLLER Japan3社による合同研削技術セミナー

3社による合同研削技術セミナー

3社による合同研削技術セミナー

段取りの様子をデモ

牧野フライス精機
 牧野フライス精機のテーマは、工具研削作業における段取り-。切削工具を精度良く加工するためのポイントや注意点を訴えた。
 ボールエンドミルの再研削を例に挙げ、砥石の測定や干渉しない砥石位置の確認、アダプタの振れ出し、砥石の装着、クーラントノズルの設定、ホルダ・・・と実演を交えながら、準備に着手。
 ダイヤルゲージを付け、アダプタの振れを計測しながら、コレットをアダプタに装着し、回転させながら振れ精度の良い位相を見つけ出していく。
 「砥石を機械に装着した後は、手で砥石を回して、ガタつかないか、試してみることも重要」とし、油が砥石に適切にかかるよう、クーラントノズルを取り付けた後は、砥石とアダプタやワークが干渉し合わないか、実機で動作確認を行い、実加工へと移っていく。
 安定加工のためには、工場内の温度管理も大切で、目安として+-1度以内。加工前にはおよそ1時間の暖機運転も欠かさないよう、と呼びかけられた。

アライドマテリアル
 アライドマテリアルのセミナーでは、研削ホイールをはじめ、ツル―イング、ドレッシング、さらに研削理論を交えたトラブルシューティングなど、基礎的で、しかも重要な項目に絞って解説がなされた。
 精密で高効率な研削加工でイチオシと勧められるのが超砥粒ホイール。超砥粒とはダイヤモンドやCBN(立方晶窒化ホウ素)を指す。セミナー冒頭では、ホイールを構成する超砥粒の特長とその種類、粒度(粒の大きさ)、集中度(単位あたりの砥粒量)、結合剤(ボンド)に関する説明がなされ、それらの組み合わせにより、加工材質やニーズに対応する仕様選定される説明だった。
 「結合剤(ボンド)によっても特徴があり、レジンは表面粗さ、切れ味で優位性を発揮し、メタルは砥粒保持力が高く長寿命」だが、超砥粒ホイールを上手く使うために欠かせないのがツル―イングであり、ドレッシングであろう。
 ホイールの使用面の振れを取り除いたり、所定の形状に砥面を仕上げる作業となるのが、ツル―イング(形直し)であり、砥粒が突き出したり、鈍化した砥粒の切れ刃を創生する作業がドレッシング。
 「研削加工で起こり得るのが目詰まり、目つぶれ、目こぼれ。いずれもツル―イング、ドレッシングで対応していくことになる」。
 目詰まりは、切れ刃となる各砥粒の間に切粉が堆積したり、溶着したりした状態で、目つぶれは、切れ刃となる砥粒が摩耗し、平坦化した状態。さらに目こぼれは、切れ刃となる砥粒が破砕脱落した状態を指す。
 対処法として提案されたのは、目つぶれでは「砥石周速度を下げ、被削材の送り速度を上げ、切り込み量を上げる」、目こぼれでは「砥石周速度を上げ、被削材送り速度を下げ、切り込み量を下げる」ことが推奨された。

ZOLLER Japan
 ZOLLER Japanは「砥石管理と段取り」にポイントを置き、砥石前段取りの効率化をはじめ、工具在庫の適正化、「探す」から「見つかる」-などにフォーカス。
 工具管理ソフト「TMS」の活用で、これからの加工で、どの砥石が必要か、労力を費やすことなく的確に把握できるほか、スマートキャビネット「ツールオーガナイザー」で砥石や切削工具、ネジ、部品の収納と取り出し、スマートキャビネット「キーパー」でツールホルダやアダプタの管理が容易になると言う。
 砥石の測定と言う点では、PMZを駆使することにより、マイクロレベルの測定が可能となり、そのデータの記録や出力も行える。もちろん、工具研削盤との連携が可能で、測定データを実測値として転送が可能だ。
 段取りの効率化と言う点では、砥石測定個所のダイレクトなインポートによる、ヒューマンエラーの予防や機外段取りによる工具研削盤の稼働率向上などが指摘された。
 砥石のバランス修正については、ツールバランサーが提案された。
 「回転させると振動が発生するので、バランスを取ることが大切になってくる。工具のみならず、砥石においても重要で、重心がずれると大きな振動に繋がってくる」。
 組み上げた砥石のアンバランス量をツールバランサーで測定して修正することになる。
 「ツールバランサーもGTJで披露し、販売の新たなスタートを切っている」。